読売ジャイアンツ
先発ローテーションの4番手以降の確立に苦しみ、リリーフ陣の負担が大きなシーズンだったのだが、登板数順に
鍵谷陽平(46)、高梨雄平(44)、
大江竜聖(43)、
中川皓太(37)らが奮闘。彼らの働きなくしてリーグ連覇は成しえなかったといえる。中でも活躍が光ったのが、クローザーのR.デラロサ(17セーブ)が故障離脱中に代役を務めたセットアッパーの中川で、防御率1.00の安定感。開幕から約1カ月後に
楽天から移籍し、44試合に登板して防御率1.93の高梨の働きもMVP級だった。21年も彼らがブルペンの柱となるが、高卒4年目で43試合に登板し、経験を積んだ大江のさらなる成長にも期待が持てる。
阪神タイガース
リーグ2位に入った原動力の1つであることは間違いない。開幕当初は
藤川球児が抑えだったが、調整不良などもあり、ロベルト・スアレスが抑えに。7月以降に安定した戦いができたのも9回のスアレスに回せば勝てるという状態が続いたからだ。そこまでの7、8回は2019年のような固定された形ではなく、調子のいい投手を投入していった。時に
岩貞祐太、時に
馬場皐輔、そして
藤浪晋太郎が活躍しスアレスにバトンを渡した。そのスアレスがほぼ残留が決まったことで、来季も安定したリリーフ陣が作られそうだ。
岩崎優もセットアッパーとして申し分なく、7回を
エドワーズや、復調を見せているベテラン桑原健太朗、若手もその座を狙っていくことで、今季以上の安定感のあるリリーフ陣になりそうだ。
中日ドラゴンズ
開幕当初、抑えを任されていたのはサウスポーの
岡田俊哉だったが、結果が残せず、中継ぎだったライデル・マルティネスと配置転換。これが見事にハマった。
マルティネスは終盤に故障で戦列を離れたが、それまで一度も失敗することなく、21セーブを挙げた。中継ぎでは右の
祖父江大輔が54試合、左の
福敬登が53試合とフル回転し、ピンチを防いだ。この3人は“大福マル”と呼ばれ、8年ぶりのAクラスに大きく貢献した。21年のリリーフ陣はこの3人はもちろん
又吉克樹、
谷元圭介、
藤嶋健人らの顔ぶれで、新戦力として左腕
ロサリオ、ドラフト2位の
森博人も加わりそうだ。トミー・ジョン手術で20年は一軍登板のなかった
田島慎二の復活も予想され、リリーフ陣の陣容は12球団でもトップクラスだろう。
横浜DeNAベイスターズ
チームのリリーフ防御率は3.54で、阪神の3.39に次いでリーグ2位と悪くない。リーグ最多登板の
パットン(57試合)、同2位のエスコバー(56試合)をはじめ、
石田健大、
平田真吾が場面を問わずにマウンドに上がり、チームの窮地を救った。防御率1.80のルーキー・
伊勢大夢の投球も光った。にもかかわらず、今季のブルペンにネガティブなイメージを抱いてしまうのは、守護神・山崎康晃が誤算だったからだろう。7月に立て続けにセーブを失敗すると中継ぎに配置転換となり、代わって
三嶋一輝がクローザーに指名された。来季は山崎の復活が待たれるが、
三浦大輔監督は抑え候補について「白紙」と言い、競争を促している。
広島東洋カープ
2020年シーズン前半は、スコット、
菊池保則、
一岡竜司と、クローザーに指名した投手が次々に逃げ切りに失敗、チームが勢いに乗れない大きな要因を作ってしまった。それでも8月以降は
フランスアが安定し、若手で成長を見せた塹江敦哉、
ケムナ誠との勝ちパターンのリレーが確立した。ただ、塹江はシーズン終盤に前半戦のキレを失っていただけに、21年に向けては、塹江の疲れをしっかりと取るとともに、勝ちパターンに使える投手をもう1人準備して、休ませながら1シーズンを戦う形を目指したいところ。その第1候補は
島内颯太郎の成長だが、新外国人の
バードや新人の
森浦大輔に
大道温貴、場合によっては
栗林良吏も含めて、適任者を探したい。
東京ヤクルトスワローズ
2020年はリリーフ陣が大健闘したシーズンだった。先発陣が早めに降板する試合が多く、完投も
小川泰弘がノーヒットノーを記録した試合のみ。先発の平均投球回は5.01回で、当然リリーフへの負担は大きかった。特に2年目の清水昇、
ソフトバンク育成から加入した
長谷川宙輝は、ともに持ち味を発揮しながら初の一軍完走。
梅野雄吾や
マクガフは序盤こそ調子を崩していたものの徐々に復調し、クローザーの
石山泰稚も防御率2.01と安定していた。21年シーズンも彼らを中心とした布陣が見込まれるが、例年よりもシーズン閉幕が遅かったため開幕までの期間は短い。勤続疲労が心配される。
写真=BBM