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田中俊太のお手本…巨人から人的補償で活躍した「内野のいぶし銀」とは

 

玄人好みのプレー


梶谷の人的補償でDeNAへの移籍が決定した田中俊


 DeNAが12月18日、巨人にFA宣言した梶谷隆幸の人的補償で田中俊太の獲得を発表した。プロ3年目の今季は自己最少の48試合出場で打率.265、1本塁打、6打点。4年目の吉川尚輝が二塁のレギュラーをつかんだことで出場機会が減った。ただ、内野の複数ポジションに加えて外野も守れるなど起用法は幅広い。打撃でも今季は9月に月間打率.467をマークするなど鋭い打球を連発していた。新天地でブレークする可能性は十分にあるだろう。その田中のお手本として活躍した「内野のいぶし銀」がいる。巨人にFA移籍した片岡治大の人的補償により、西武でプレーした脇谷亮太だ。

 脇谷は大学・社会人ドラフト5巡目でNTT西日本から巨人に入団。内野ならどこでも守れるユーテリティープレーヤーで、打撃でも相手に球数を投げさせるなどしつこく食らいつく姿勢が首脳陣の信頼を勝ち取った。新人の06年に60試合出場で打率.270をマーク。同年オフに「同学年で同じ一番打者のヤクルト青木宣親を目標にして活躍してほしい」と原辰徳から期待を込められ、背番号を「57」から「23」に変更する。

2006年、新人時代の脇谷


 プレースタイルは玄人好みのワキ役のイメージだが、大舞台に強かった。07年は中日と熾烈な首位争いを繰り広げる中、9月26日の直接対決で朝倉健太から逆転2ランを放ち、5年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献。08年も西武との日本シリーズ第5戦で涌井秀章から決勝打、09年の中日とのクライマックスシリーズ(CS)では浅尾拓也から代打で逆転決勝適時二塁打を放ちMVPに輝く。「(CSの)3試合でトータル10分くらいしか試合に出ていないんですけど……いいのかなという気持ちです」とお立ち台で照れ笑いを浮かべた。

 10年に自己最多の132試合出場で初の規定打席に到達。打率.273、7本塁打でチーム最多の28盗塁、リーグ最多の8本の三塁打を放ち、「15試合連続得点」のリーグ新記録も達成した。しかし、ここから試練が。11年に初の開幕スタメンに抜擢されたが、7月に右手有鉤骨を骨折。オフに右ヒジ靭帯の再建手術も受け、翌12年は育成契約を結ぶ。背番号も「23」から3ケタの「023」に変わった。リハビリ生活を乗り越えて13年に復帰したが、同年オフに巨人へFA移籍した片岡の人的補償で、西武に移籍が決まった。

新天地でもひたむきにプレー


 新天地でも脇谷は持ち味を失わず、ひたむきにプレーした。片岡の背番号「7」を継承し、移籍1年目の14年は開幕戦に「六番・一塁」で出場。その後も二塁、三塁とチーム事情に応じて守った。勝負強さは健在でサヨナラ安打を2度放つ。翌15年も118試合出場で打率.294、3本塁打をマーク。好調な打撃を買われて8月に三番に抜擢された。内野だけでなく、左翼も守るなど貢献度は非常に高かった。

 人懐っこい明るい性格で西武にすっかり溶け込んでいたが、15年オフに尊敬する高橋由伸が巨人の監督に就任すると、FA宣言して巨人に移籍。人的補償で移籍した選手がFAで古巣に復帰するのは初のケースだった。18年限りで現役引退し、現在はスカウトとしてチームを支えている。

 脇谷が西武で必要とされたように、田中俊太も人的補償で移籍が決まったDeNAで活躍できるか。まだ27歳。選手として脂が乗る働き盛りはこれからだ。

写真=BBM
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