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パ・リーグ6球団 今季の攻撃陣評価&来季の展望は?

 

福岡ソフトバンクホークス



 A.デスパイネ、Y.グラシアルの来日遅れ、W.バレンティンの不調など不測の事態も起こるも、昨季リーグ4位だったチーム得点(582)は同2位(531)に。攻撃陣が投手陣の踏ん張りを後押しする試合も多々見られた。その中心にいたのが柳田悠岐だ。離脱することなくシーズンを完走した主砲は、146本の安打を放ち最多安打のタイトルを獲得。それ以外でも打撃主要部門上位に名を連ねる活躍で、5年ぶり2度目のリーグMVPに輝いた。また、栗原陵矢周東佑京が台頭。栗原は勝負強い打撃でクリーンアップとして機能し、周東はシーズン後半、打って走ってリードオフマンにハマった。彼らがしっかりとレギュラー定着できるかが来季、ポイントの1つに。特に一番・周東は初回から得点機を演出できる可能性が高い。とはいえ、彼らに負けじと闘志を燃やす選手も多く、この競争がチームをさらに強くするだろう。また、『野手陣の強化』のため招へいされた小久保裕紀新ヘッドコーチの手腕にも期待が高まる。

千葉ロッテマリーンズ



 規定到達者での3割打者は不在。チーム首位打者は中村奨吾の.249、7月からほぼ四番で固定起用された安田尚憲は6本塁打と猛打をふるったわけではない。それでも攻撃力で他球団に引けを取らなかったのは、リーグ最多の491四球をもぎって得点機を作り出し、試合終盤には和田康士朗岡大海らを代走で投入するなど、足を絡めてワンヒットで得点を奪ったことが大きい。2020年は福田秀平荻野貴司レアードら主力が相次ぎ故障離脱する中でも、“打つだけではない攻撃力”でカバーしてリーグ2位とAクラス入り。マーティンが25本塁打と長打力も効果を発揮し、シーズン最終盤には藤原恭大が台頭。層は着実に厚くなっているだけに、21年は主力が故障せずにベストオーダーが組めれば、自ずと攻撃力はアップしていくだろう。

埼玉西武ライオンズ



 2年連続12球団トップの得点を誇った強力打線を前面に2018、19年と連覇を飾ったが、2020年は昨季首位打者の森友哉は打率.251、9本塁打、30打点、本塁打王の山川穂高が打率.205、24本塁打、73打点と主力が軒並み昨季より数字を落とし、攻撃力は大きく低下。スパンジェンバーグ鈴木将平金子侑司らが務めたがメジャー移籍した秋山翔吾(レッズ)が座っていた一番も固定できなかったのも痛かった。チーム打率.238はリーグ5位、479得点は同4位と本領発揮できずに3連覇を逃した大きな要因となったのは間違いない。20年は若手も多く登用したが、ケガで途中離脱して一軍定着できなかった。今秋のドラフトでは1位の渡部健人(桐蔭横浜大)ら野手を多数獲得。競争を促し、レベルアップを図り、強力打線を復活させていく。

東北楽天ゴールデンイーグルス



 チーム打率.258、557得点はいずれもリーグトップの数字と、攻撃力は申し分なかった。主砲の浅村栄斗が32本塁打で自身初の本塁打王となり、ロッテからFA移籍の鈴木大地はリーグ3位の141安打をマーク。加えてオリックスから移籍のロメロが24本塁打を放ち、ドラフト1位ルーキーの小深田大翔は球団新人記録を塗り替えるマルチ安打34度と、新戦力が打線に厚みをもたらした。ただし、三木肇監督が掲げた機動力野球は実現せず、67盗塁はリーグ最少の数字。個の力は発揮されたものの、チームとしての戦術確立は道半ばに終わった。石井一久新監督の下、現有戦力の底上げで覇権を狙う。

北海道日本ハムファイターズ



 チーム打率.249はリーグ2位、打率10傑には近藤健介、西川遥輝渡邉諒大田泰示の4選手がランクイン。加えてチーム得点圏打率(.271)リーグトップと勝負強さも光った攻撃陣は結果を残した。主砲・中田翔は、打率.239ながら108打点を挙げ4年ぶり3度目の打点王を獲得。2年連続最高出塁率のタイトルを獲得した近藤、チーム最多安打&最多盗塁の西川ら上位打線のチャンスメーク力も絶大だった。西川がメジャー移籍となれば、その穴を埋めるのは容易ではない。さらに最大の課題は長打力不足だ。1本差で本塁打王を逃した中田は31本塁打を放ったものの、助っ人勢が振るわずチーム本塁打89本はリーグワースト。得点力向上には長打力アップが欠かせない。

オリックス・バファローズ


オリックス・A.ジョーンズ


 得点力不足は解消されないままだった。メジャー通算262本塁打のアダム・ジョーンズを獲得して攻撃力の向上を期すも、打率.258、12本塁打、43打点と物足りぬ成績に。吉田正尚が打率.350で首位打者を獲得と、確たる打線の軸を擁しながら生かし切れず。一番打者だけでも10人を起用と、日替わり打線で攻撃パターンも定まらなかった。チーム打率.247、同得点圏打率.246はリーグ4位ながら、得点数は最少の442。単純な打力向上だけではなく、犠飛もリーグ5位の21と、状況に応じた打撃は不可欠。モヤ、T-岡田の長距離砲に、福田周平安達了一ら巧打者、佐野皓大ら機動力を使える選手も多数。個の能力は決して低くはないだけに、いかに打“線”とするか。得点力不足は2021年も大きな課題として残る。

写真=BBM
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