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進化を遂げた投球術で球界を代表するエースへ! オリックス・山本由伸/2020の主役

 

今季は18試合に登板し、8勝4敗、防御率2.20をマークした山本


 ぶつかったカベが右腕をさらに強くした。今季からエースナンバー「18」を背負った22歳。「投げる試合ですべて勝つ」とさらなる飛躍を期していた。最速158キロの直球、変化球もカットボール、スライダー、フォークが150キロに迫るなど、いずれも“高速”。力勝負を挑めばバットの芯を外され、小手先の打撃では力で押される――。さらに120キロ台のカーブでカウントを稼がれるとあっては、打者も舌を巻くばかり。そうして相手を圧倒する右腕は、今季も“快投”で幕を開けた。

 開幕3戦目(6月21日=京セラドーム)。8回を散発3安打無失点で、二塁すら踏ませぬ快投と、エンジン全開のスタートを切れば、得点を許さぬことに加えて築いたのは三振の山だ。「常に違う自分で勝負したい」と言う右腕の決め球は多彩で、フォークで空振りを奪うだけでなく、時に直球で力勝負、さらにカーブで意表を突く投球術も光り、気が付けば7月26日の楽天戦(楽天生命パーク)から連続奪三振イニングは25回に。日本人投手の最長記録を塗り替えてみせた。

 ただ、制球に苦しんだ。7月5日の西武戦(メットライフ)では1イニング4死球など四死球が目立つと、7月19日から約1カ月間、勝ち星から遠ざかり、8月終了時点で防御率3.38も、わずか3勝。「野球はチームスポーツなので」と個人記録より勝利を期す男は、打線の援護も少ない中で、知らず知らずのうちに力みが生じていたのだろう。8月25日のソフトバンク戦(PayPayドーム)では、自己ワーストの1試合5四球を与えた。そこで心に刻む。

「心は熱く。頭は冷静に」――。

 それが、さらなる成長を呼んだ。

「力の入れ具合、抜き具合を調整したんです」。ボールの威力は誰もが知るところ。そのボールを力みなく投じれば、自ずと数字は改善され、5試合に登板した9月は計37回をわずか3失点。防御率0.73で4勝1敗の成績で初の月間MVPに。シーズン計149奪三振でタイトルも獲得した。それでも満足はしない。

「チームが最下位という悔しい成績に終わってしまった。来年は勝ちにつながる投球を1試合1試合、積み重ねていきたい。また一つレベルアップしていきたい」

 たくましさを増した右腕は、来季こそ“勝利”を重ねていく。

写真=BBM
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