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2021年に巻き返しを期待したい育成契約選手とは?

 

 2020年も数多くの育成選手が支配下契約を勝ち取り、中には昇格早々に一軍出場機会を得た選手もいた。一方で、好結果が残せなかったり、ケガで満足にプレーできなかったりした選手が、育成で再出発を図るケースも少なくない。今回は、そうした育成枠で新たなスタートを切る「巻き返しを期待したい育成契約選手」を紹介する。

原監督から新人王の期待が寄せられる逸材



・直江大輔(巨人)

 今オフ、巨人はドラ1である堀田賢慎や、一昨年にファーム首位打者となった山下航汰など、複数の期待の若手を自由契約にし、育成枠で再契約を結んだ。いずれも2021年の巻き返しを期待したい選手だが、特に注目したいのが直江大輔だ。19年にドラフト3位で入団した直江は、今年8月に初めて一軍に昇格して計3試合に先発。残念ながらプロ初勝利をつかむことはできなかったが、長身から放つ角度のあるストレートや多彩な変化球は魅力十分。原辰徳監督からの評価も高かった。

 しかし、シーズン中に持病の腰椎間板ヘルニアが悪化。症状がひどくなったため手術を行い、直江の2020年は終了した。その後、11月に治療に専念させるためにいったん自由契約にし、育成で再契約。原監督は「来季(21年)は新人王を取らせる」と大きな期待を抱いている。2020年にブレークした同期の戸郷翔征に負けない活躍を見せてもらいたい。

セ・リーグ唯一無二の存在を目指す


丸山泰資中日

 中日の育成選手で面白い存在なのが丸山泰資だ。東海大時代にノーヒットノーランを達成するなど右の本格派だった丸山は、2017年にドラフト6位で中日に入団。しかし、2018年に右ヒジを故障してトミー・ジョン手術を受け、2019年は1年をリハビリに費やした。

 復活を目指した2020年は育成選手となり、門倉健二軍投手コーチの提案で(サイドスロー気味の)アンダースローへとフォームを変更。11月のみやざきフェニックス・リーグでは、フォーム変更後最速となる146キロを計測し、1イニングを無失点に抑えた。本人も手応えを感じており、球団もいったん自由契約した後に、再び育成枠で契約。明確にアンダースローだと公表している投手は、NPBではほかに3人(楽天牧田和久ソフトバンク高橋礼西武與座海人)しかおらず、セ・リーグでは0人。ブレークすれば面白い存在となるだろう。

サイド転向が吉と出るか?


ソフトバンク・吉住晴斗


・吉住晴斗(ソフトバンク)

 2020年、パ・リーグでは史上初となる日本シリーズ4連覇を果たしたソフトバンクだが、オフに17人もの選手を自由契約にする大刷新を敢行。長くチームに貢献した内川聖一や、ドラ1選手の加治屋蓮もチームを後にした。このうち、育成で再契約したのが2018年ドラフト1位入団の吉住晴斗だ。高校時代に球速が150キロを超えた逸材だが、プロ入り後はフォームを見失い、これまで一軍登板はなかった。

 チームから再契約を打診された際、本人は断り、現役引退を考えていた。そんな中、吉住の下にMLBでプレーするダルビッシュ有から連絡が入る。面識はなかったが、同僚の石川柊太が間を取り持ち、連絡するに至ったという。ダルビッシュから「3年でプロから引退するのはもったいない」と言葉を掛けられた吉住は引退を撤回。育成での再出発を決断した。折しも、今季はサイドスローへの転向を決断し、みやざきフェニックス・リーグでは144キロを計測と手応えをつかんでいた。来季は要注目だ。

再び一軍のマウンドを目指す最多勝投手



・多和田真三郎(西武)

 一軍で個人タイトルを獲得するような選手でも、育成から再出発を図ることがある。例えば不振で二軍生活が続いていたり、ケガで長期離脱したりといった場合は、チームが育成での再契約を打診するのだ。今季でいえば、西武の多和田真三郎がその例に該当する。

 2016年にドラフト1位で入団した多和田は、プロ3年目の2018年に16勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得。さらなる飛躍が期待された2019年だったが、シーズン序盤から精彩を欠く投球が続いた。7月に診察を受けたところ頻脈性不整脈と診断される。その後の検査で体調不良は自律神経失調症によるものと分かり、2020年は治療に励みながら二軍でプレーした。しかし、5試合で1勝2敗と不振からは抜け出すに至らなかった。そのため、チームは多和田の重圧を軽くするべく、いったん自由契約にして育成で再契約することにしたという。本人も一軍マウンドへの復帰を目指している。来季は再び力強い投球を見せてもらいたい。

「2021年の巻き返しを期待したい育成契約選手」を紹介した。もちろん、将来有能な若手や実力のある選手であっても、育成から支配下登録を勝ち取るのは容易ではない。しかし、苦しい状況からはい上がってきた選手は、チームとって非常に頼もしい存在になるだろう。今回紹介した4人が来季目覚ましい活躍を見せてくれるか、ぜひとも注目していただきたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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