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大学野球リポート

「変革」を合言葉に、コロナ禍に立ち向かっていく東大野球部

 

目指すのは勝利のみ


東大は練習始動日となった1月9日、必勝祈願を行った。本来は全部員で実施されるが、緊急事態宣言を受け、井手監督(中央)、大音主将(右)、吉田マネジャー(左)の3人に縮小された


 東大は毎年1月、新年の練習始動日にチームスローガンを発表する。必勝祈願前にはグラウンドで巨大シートに書初めを行う。ちょうど塗料が乾いた祈願後、外野フェンスにこの横断幕を貼って、集合写真を撮影する。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、1月8日に1都3県に緊急事態宣言が発出。本来は全部員で実施する9日の必勝祈願は井手峻監督、大音周平主将(新4年・湘南高)、吉田洸マネジャー(新4年・栄光学園高)の3人に縮小された。大学からの要請により9、10日は原則、課外活動が禁止された中での個別練習のため、書初めも延期。11日以降は、緊急事態宣言の解除が予定される2月7日まで、活動停止となる。

 すでに学部によっては試験が始まっており、2月上旬まで続くという。この期間は勉強を軸としながらも、密を避け、可能な限りで自主練習の形で体を動かしていくという。

 書初めは行われなかったが、スローガンは「変革」(昨年は「挑戦」)に決まった。なぜ、この二文字にしたのか。大音主将は言う。

「昨年はコロナ対応が大変でした。先輩の代から引き継ぎ、良い部分は残す。なぜ、勝てなかったのかを冬の間、ミーティングを重ねてきました。体力強化、練習方法など、改善の余地がある部分は変えていきたい」

 東大は2017年秋に法大から連勝で勝ち点を挙げて以降、昨秋までに2引き分けを挟んで56連敗中だ。就任2年目の井手監督は「周囲からは連敗、連敗と言われますが。それは関係なく、勝ちを目指します」と決意を語った。

 昨春の東京六大学リーグ戦は4月上旬、5月末から再延期された8月10日開幕。東大は加盟校で最も遅く、7月20日に全体練習を再開。約4カ月に及ぶ活動自粛期間を経験した。

 ジタバタしても始まらない。感染予防対策を徹底し、可能な範囲で調整するしか道はない。井手監督は必勝祈願前に全部員の前で言った。

「七十何年間生きています(76歳)が毎日、同じということはなく、新しいことが起きる。しっかり対応して、1日1日を大切にまっとうして生きていこう!」

 かつてプロ野球で選手、フロントとして長く活躍してきたこそ、重みのある言葉。「変革」を合言葉に、コロナ禍に立ち向かっていく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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