週刊ベースボールONLINE

MLB最新事情

【MLB】2021年シーズン MLBは何試合できるのか

 

21年シーズンは4月1日が開幕とされているが、MLB機構やオーナー側と選手会との間で駆け引きなどでどうなるか、いまだに不透明だ(写真は20年開幕戦)



 このオフのウインターミーティングは恒例の30球団監督会見もズームで行われた。質問で多かったのは、果たして21年シーズンが予定どおりに2月にキャンプが始まり、4月1日に開幕できるのかどうか? 何せMLB機構側が水面下で、開幕を遅らせ試合数も減らすことを検討しているのが分かっていたからだ。しかしながら監督たちは異口同音に「予定どおりと聞いているし、そのつもりで準備する」と返事した。

 レンジャーズのクリス・ウッドワード監督は「選手たちはオフのプログラムをこなしてきているし、このまま準備を続ける。仮に開幕が1カ月遅くなってもその場合は何とかなる。難しいのは、ゆっくり準備していたら突然予定どおり(シーズンが)始まり準備が間に合わない事態」と説明した。

 MLB機構側が遅らせようと考えるのは、オーナーたちが無観客で試合をやりたくないからだ。無観客の昨季はチーム平均1億ドルの損失があったと言われる。アメリカでは12月の最初の1週間で早くも55万人がワクチン接種を受けたが、主に最前線で働く医療従事者と高齢者が対象だった。

 野球ファン、すなわち一般の人に行き届くのはうまく行っても5月。4月1日の時点ではまだ早い。20代の健康なアスリートである野球選手たちも、接種で優先はされないだろう。加えてワクチンへの不信感があり、12月上旬の調査では、アメリカで30パーセントの人が接種を拒否すると言っている。選手の中にもそういう意見の選手がいておかしくない。

 ジャイアンツのゲーブ・キャプラー監督はズーム会見で「私は接種する。科学を信じているし、FDA(アメリカ食品医薬品局)はきちんと理由があって承認したのだと信じる。一方で不安を持つ選手の気持ちも分かる。正しい知識を得なければ」と話した。

 MLB機構側は、キャンプ期間中に選手やスタッフのワクチン接種を済ませたいと考える。公式戦に入ってからでは、副作用で離脱者が続出した場合、試合ができなくなる恐れがあるからだ。試合数を減らしたいのは、野球現場の意向もある。昨季の60試合から162試合に一気に戻せば投手の負担が大きい。昨季多くても60イニングから70イニングしか投げていない。162試合ならトップの先発投手は170イニング以上投げねばならない。そこで21年については140試合ないしは120試合にしておいたほうが無難では、というのだ。

 一方、選手会は162試合で行くべきと主張する。選手の収入を守るのが彼らの役目だからだ。ご意見番のスコット・ボラス代理人は独自に90分のズーム会見を開き、「野球は安全にできる。昨季はプロトコルを使って乗り切れたし、21年はワクチンもある」という。そして投手の負担が増えることについては「ロースター枠をアジャストすべき」と提言した。

 起用できる投手数を増やし、分担で乗り切るべきだと言う。このオフにオーナー側が、お金がないと主張していることについては「お金を失くしたのではなく、儲けそこなっただけ」と指摘した。

 21年シーズン、予定では7月13日にアトランタでオールスター・ゲームが開催され、10月3日が公式戦最終日となる。果たして予定どおりなのか、開幕は遅れてしまうのか。現時点ではまだ決まっていない。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング