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福留孝介がドラゴンズにもたらすプラス効果

 

中日時代2006年の福留孝介



 福留孝介の中日復帰が決まったのは昨年12月のこと。球団事務所で行われた記者会見では「感謝のひと言です」とやや緊張した面持ちで思いを述べた。

 1977年4月26日生まれの43歳。ご存知のように球界最年長野手だ。野球を続けられる環境を手にできたことがまずはうれしく、ホッとしている表情が印象的だった。

「このままでは終われない」というのが率直な気持ちだろう。昨年は阪神で43試合に出場して12安打、1本塁打、12打点の打率.154。力不足の部分もあったかもしれないが、チャンスがあればまだまだやれるという思いは強かったに違いない。

 福留の獲得は中日の補強条件に見事に合致していた。外野陣は手薄であり、得点力不足は深刻だ。一発が期待できる代打も見当たらない。助っ人のガーバーは未知数でコロナ禍ではどうなるかも分からない。

 推定年俸は1億円減の3000万円。コスパ的にも問題はない。若手の出番が減るという声もあるようだが、そもそもプロの世界は競争だ。ポジションは与えられるものではなく、つかみとるものだろう。

 球団はここ一番での代打での活躍を期待しており、それは福留も十分に分かっているが、代打に甘んじるつもりは毛頭ない。隙あらば外野の一角を奪うつもりでいる。

 昨年不振だった平田良介は危機感を感じているだろう。大島洋平はともかく、福田永将遠藤一星武田健吾井領雅貴らにとっては死活問題。ルーキー三好大倫もそうかもしれない。

 外野陣のレベルアップ、助っ人ガーバーの保険、代打の切り札。知名度も高く、低コスパ。最年長選手の野球に対する姿勢は若手にも大いに参考になる。福留の加入はチームにとってプラスになってもマイナス要素は見当たらない。

 問題はただ一つ。福留自身がどこまでやれるかに尽きる。オープン戦から結果を残し、首脳陣にどこまでアピールできるか。その結果次第ではレギュラー奪取も十分にあり得る。

 2年連続最多安打のタイトルを獲得した大島洋平が言っていた。「年齢なんて関係ないですから」。福留には最年長選手として、それを証明し、チームから見限られている12球団のベテランたちをも勇気づけてもらいたい。

写真=BBM
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