2020年のドラフト会議では、早大・
早川隆久、近大・
佐藤輝明の2人が、4球団から1位指名された。抽選の結果、早川は
楽天、佐藤は
阪神が交渉権を獲得。ともに即戦力として期待できる逸材だけに、どのようなプレーを見せてくれるのか今から目が離せない。では、こうした「複数球団から指名された大卒ドラ1選手」は、入団1年目にどのような成績を残しているのだろうか?
新人王を獲得した選手が意外と少ない

ドラフトで4球団競合の末、日本ハムに入団した斎藤。1年目は6勝をマーク
現在のチーム体制となった2004年ドラフト(楽天が初参加)以降、1位指名で複数球団に指名された大卒選手と、入団1年目の成績を以下にまとめてみた。
※1位再指名を含む。年度はドラフト年 ●2007年
・
長谷部康平(愛工大⇒楽天)
13試合 1勝4敗 防御率9.93
・
大場翔太(東洋大⇒
ソフトバンク)
13試合 3勝5敗 防御率5.42
・
篠田純平(日大⇒
広島)
15試合 3勝4敗 防御率4.31
●2008年
・
松本啓二朗(早大⇒横浜)
22試合 44打数6安打 1打点1盗塁 打率.136
●2010年
・
大石達也(早大⇒
西武)
一軍出場なし
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斎藤佑樹(早大⇒日本ハム)
19試合 6勝6敗 防御率2.69
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塩見貴洋(八戸大⇒楽天)
24試合 9勝9敗 防御率2.85 ※優秀新人賞
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伊志嶺翔大(東海大⇒
ロッテ)
126試合 422打数110安打 2本塁打 21打点 30盗塁 打率.261
●2011年
・
藤岡貴裕(東洋大⇒ロッテ)
21試合 6勝7敗 防御率3.36
●2012年
・
東浜巨(亜大⇒ソフトバンク)
5試合 3勝1敗 防御率2.83

広島・大瀬良は2ケタ勝利を挙げて新人王を獲得
●2013年
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大瀬良大地(九共大⇒広島)
26試合 10勝8敗 防御率4.05 ※新人王
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杉浦稔大(国学大⇒
ヤクルト)
4試合 2勝2敗 防御率3.52
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岩貞祐太(横浜商大⇒阪神)
6試合 1勝4敗 防御率4.60
●2014年
・
有原航平(早大⇒日本ハム)
18試合 8勝6敗 防御率4.79 ※新人王
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山崎康晃(亜大⇒
DeNA)
58試合 2勝4敗37セーブ7ホールド 防御率1.92 ※新人王
●2015年
・
高山俊(明大⇒阪神)
134試合 494打数136安打 8本塁打 65打点 5盗塁 打率.275 ※新人王
●2016年
・
柳裕也(明治大⇒
中日)
11試合 1勝4敗 防御率4.47
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田中正義(創価大⇒ソフトバンク)
一軍出場なし
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佐々木千隼(桜美林大⇒ロッテ)
15試合 4勝7敗 防御率4.22
●2017年
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馬場皐輔(仙台大⇒阪神)
2試合 0勝1敗 防御率5.19
●2018年
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辰己涼介(立命大⇒楽天)
124試合 314打数72安打 4本塁打 25打点 13盗塁 打率.229
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上茶谷大河(東洋大⇒DeNA)
25試合 7勝6敗 防御率3.96
2004年から2019年ドラフトまで、1位指名で競合した大学生は全部で22人。このうち、1年目に新人王を獲得するほどの活躍を見せたのは、大瀬良、有原、山崎、高山の4人のみ。割合でいえば約18パーセントと意外に低い。
また、新人王は獲得できなかったが、チームの主力として活躍したのは塩見、伊志嶺、上茶谷が挙げられる。ほかには、楽天の辰己が際立った数字ではなかったものの、チームに欠かせない存在としてシーズンを通してプレー。CS進出にも貢献した。ロッテの藤岡も好不調の波は大きかったが、先発の一角として奮闘。斎藤佑樹も課題は多かったが、1年を通してローテーションを守り切った。
これらの選手以外は、1年目に期待された活躍はできず。特に、6球団競合の大石達也、5球団競合の田中正義は、1年目に一軍出場することもかなわなかった。故障やチーム事情によもよるが、こうして振り返ってみると、2004年以降に複数球団が競合した大卒ルーキーは、1年目に思うような結果が残せていないのだ。
1年目に好結果が出なくても、2年目、3年目に大きく飛躍する選手もいるが、大卒選手は即戦力としての期待も大きいため、できれば1年目から結果を残したいところ。2020年ドラフトで共に4球団競合となった早川と佐藤は、果たしてどのような活躍を見せてくれるのか、今から注目だ。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM