週刊ベースボールONLINE

編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

一、二軍の振り分け発表。ここが2021広島キャンプの見どころだ

 

一軍は沖縄、二軍は日南の分離キャンプ


昨年キャンプの際の外野陣。今季はここに大盛穂松山竜平も加わり、より激しい争いが繰り広げられそうだ


 今年もいよいよプロ野球のキャンプインが近づいてきた。今季、3年ぶりのVを目指す広島でも、1月19日にキャンプメンバーの一、二軍の振り分けが発表されたが、今回はそれを受けて、キャンプで見どころとなるポジション争いを考えていこう。

 昨年は、キャンプの前半と後半で一軍は日南から沖縄、二軍はその逆になるよう、場所を入れ替えていた広島だが、新型コロナウイルス感染拡大防止も考えて、今年は途中移動なしで、一軍は沖縄、二軍は日南の分離キャンプとなった。おそらく、途中での頻繁な選手の入れ替えなどは想定されていないと思われ、本来の主力選手であっても、昨年中に手術をした選手は軒並み二軍のほうに振り分けられている。大瀬良大地西川龍馬をはじめ、野村祐輔中崎翔太宇草孔基らは二軍キャンプスタート。一軍キャンプは、「間違いなく動けるメンバーと、ピックアップされた若手」で構成される形になっている。ルーキーは、大卒(及び大学、社会人経由)の栗林良吏森浦大輔大道温貴の3投手と、内野手の矢野雅哉が一軍スタート。なお、新型コロナウイルス陽性判定が出ていたり、隔離期間があるため来日が未定となっている外国人選手の振り分けは未定となっている。

 投手陣を見ると、2019年に受けたトミー・ジョン手術からの戦列復帰へ歩みを進める高橋昂也が一軍スタートを勝ち取ったのが目を引く。先発陣は、開幕ローテーションに入るためには、まずは今キャンプの一軍メンバーの中で上位候補6人に入らなければいけないが、上から数えていくと、確定は森下暢仁九里亜蓮、有力は遠藤淳志床田寛樹という感じなので、残りの2枠を高橋昂、ルーキーの栗林、昨年後半頑張った中村祐太、先発での復活を目指す薮田和樹、昨年の宮崎フェニックスリーグで好投を見せた矢崎拓也が争う、という感じになりそうだ。

 リリーフ陣は、基本的には昨年同様の布陣が予想されるが、クローザーのフランスアがコロナウイルス陽性となったことで、万一調整遅れとなった場合の手当を考えておく必要が出てきた。昨年、実績を挙げた塹江敦哉ケムナ誠のほか、島内颯太郎や、昨年のウエスタン・リーグ最多セーブの田中法彦に食い込んでほしいところだ。そのほか、育成のコルニエルが一軍キャンプに参加。どこまで可能性を見せてくれるか。

 捕手は會澤翼坂倉将吾は順当だが、磯村嘉孝は二軍スタートとなり、中村奨成石原貴規が一軍メンバーに選ばれた。この辺りは若い2人のライバル心に火をつけつつ競わせようというところか。

一軍に多くの足を使えるメンバーが


 内野陣は9人が一軍スタートと少し多めだが、セカンド・菊池涼介、ショート・田中広輔、サード・堂林翔太の3ポジションは、少し控え選手には水をあけている感じか。ほかには曽根海成上本崇司羽月隆太郎、矢野雅哉と、足を使えるメンバーが多く選ばれており、河田雄祐新ヘッドコーチがこのあたりのメンバーの機動力攻撃のスキルをどう上げていくかも見どころだ。なお、若手選手では小園海斗が二軍スタートとなり、同じ高卒3年目の羽月や林晃汰と明暗が分かれる形となった。

 内野で唯一の定位置争い激戦区はファーストだ。他球団の新外国人に先駆けて来日し、スタートからのキャンプ参加となるクロンと松山竜平が争う。そして、松山には河田ヘッドコーチからレフト再挑戦の案も出ており、これが外野の定位置争いに波及してくる可能性もある。

 その外野は、6人が一軍スタート。ライトの鈴木誠也はレギュラー確定として、残るレフトとセンターを、長野久義野間峻祥正隨優弥、大盛穂、そして松山が争うという大激戦。昨年開幕一軍を手にした高橋大樹は二軍スタートとなっており、右の外野手では正隨が定位置への挑戦権へ一歩リードした格好だ。ここで勝ち残った2人に、状態が戻ってくれば、手術明けで二軍スタートとなった西川龍馬、宇草孔基が挑んでいくという図式になってくるか。西川がどの時点で一軍に加わってくるか次第で、オーダーの構想にも影響が出てきそうだ。

 いよいよ始まるレギュラーへの壮烈な「イス取りゲーム」。約2カ月の戦いを誰が勝ち抜き、どんな開幕オーダーが出来上がるかが楽しみだ。

文=藤本泰祐 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング