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高卒2年目で沢村賞! 桑田真澄のすごさが分かる現役時代の記録集

 

巨人での現役時代の桑田。通算173勝をマークした


 2021年1月21日、かつて巨人のエースとして活躍した桑田真澄の「巨人一軍投手チーフコーチ補佐就任」が報じられた。コーチングスタッフがすでに発表されていた状況の中で、これまでプロ野球のコーチ経験がない桑田を起用するということで大きな話題となった。桑田のコーチ就任がどのような結果を及ぼすのか注目したいところだが、今回は桑田が現役時代に残した成績をあらためて振り返ってみた。

戦後の甲子園で今も破られない記録を樹立


PL学園高時代の桑田


 地元・大阪府八尾市の大正中時代からすでに地元で話題の投手だった桑田は、1983年に名門・PL学園高に入学。すでに大物と評価されていた同期の清原和博は1年時から四番を任されたが、桑田の評価は低く、夏前までレギュラーチームには入れなかった。しかし、当時の先発陣がふがいない成績だったために桑田が起用されることになり、桑田は見事にこの期待に応えた。その勢いでエースとなった桑田は、1年生ながらチームを夏の甲子園優勝に導いた。優勝時の桑田はまだ15歳。これは1946年の学制改革以降で最年少だった。

 その後、桑田はチームのエースとして春夏の甲子園に通算5度出場。このうち、1年時と3年時に夏の大会で優勝を果たしている。甲子園での通算奪三振数は150個で、これは戦後では最多。通算20勝も戦後最多記録である。

高卒2年目での沢村賞受賞


2年目の87年、沢村賞に輝いた(右は工藤公康


 圧倒的な高校での実績をひっさげ、1986年にプロ入りを果たした桑田には、巨人のエースナンバーである18番が贈られた。1年目は二軍で1試合16奪三振をマーク。一軍でも15試合に登板し、わずか2勝に終わったものの、1試合11奪三振を記録するなど才能の片りんを見せつけた。登板機会が増えた2年目は、15勝6敗、防御率はリーグトップの2.17を記録し、最優秀防御率のタイトルを獲得。また、その活躍から高卒2年目で沢村賞にも選ばれた。

 以降、桑田は2006年に退団するまで20年間、巨人のエースとして君臨。442試合の登板で173勝141敗、通算防御率3.55という成績を残した。通算173勝は歴代38位タイ。名だたるレジェンドが並ぶ巨人の歴代投手陣の中でも7位だ。

打撃力、守備能力も非凡なものを持っていた


打撃にもセンスがあり、打席でもしっかりと結果を残した


 素晴らしいピッチング能力だけでなく、桑田は打撃力も兼ね備えた選手だった。高校時代は甲子園通算6本塁打を記録しており、これはPL学園高では清原に次ぐ数字。そのため、桑田がプロ入りする際は、野手への転向もウワサされたほどだ。

 最終的に桑田は投手として大成したが、打撃成績は890打数192安打、通算打率は.216を記録。本塁打も7本放っており、野手としても十分に通用したと思われる数字を残している。ちなみに投手の通算本塁打トップは金田正一で38本。桑田の前に巨人の18番を背負っていた堀内恒夫も21本塁打をマークしている。

 打撃よりも優れていたと評されるのが守備力だ。桑田は現役時代にゴールデン・グラブ賞を通算8度受賞。投手では西本聖と並ぶタイ記録だ。桑田のフィールディングは歴代投手の中でも群を抜いており、反応速度や守備範囲の広さは相手チームの脅威だった。本人も「守備が得意」と話しており、仮に野手に転向していた場合は、巨人でも歴代有数の選手になっていたかもしれないのだ。

桑田の持つ以外な珍記録


 最後に桑田が持つ珍しい記録を紹介しよう。まずは「最優秀防御率タイトルの最長ブランク受賞」だ。桑田はプロ2年目の1987年に同タイトルを獲得しているが、それから15年後の2002年にも受賞。15年ぶりの受賞は最長ブランクとなっている。

 また、桑田はコントロール能力の高さも武器だったが、実は危険球退場を3度経験している。1995年、1999年、2005年にそれぞれ記録しており、通算3度は浅尾拓也内海哲也山口俊と並ぶNPB最多タイ記録。3度の危険球のうち2度は阪神戦で記録されたもの。ライバルには力が入ったのだろうか。

 巨人の一軍投手チーフコーチ補佐に就任した桑田真澄の成績や面白い記録をまとめてみた。プロでのコーチ経験はないとはいえ、巨人の歴史に残る偉大な成績を残した桑田の教えを受けられることは選手にとってプラスとなるはずだ。2020年はリーグ優勝したものの、投手陣のさらなるレベルアップが望まれる巨人。桑田の指導でどこまで変われるか、シーズンインを楽しみに待ちたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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