毎シーズン、12人のドラ1選手が誕生しているが、その全員が活躍できているわけではない。結果が出せずに数年でプロの世界から去る選手もいる。しかし、なかなか結果が出せない中で、必死に食らいついている選手も少なくない。今回は、2021年にプロ入り3年目以上となるドラ1入団選手を対象に、今季こそ活躍してもらいたい選手をピックアップしてみた。
安樂やオコエ…今年が勝負の1年となるドラ1選手
まずは2014年ドラフトの1位から。2014年のドラフトで、
有原航平とともに注目を集めたのが
安樂智大だ。抽選の結果、楽天に入団したが、2年目から徐々に登板機会が増えるも、2017年の開幕前に太ももを負傷。翌年も右肩の不調など一軍で投げられないシーズンが続いた。2020年はようやく復調し、中継ぎとして自己最多の27試合に登板。1勝5ホールドと上昇の兆しを見せており、2021年はさらなる活躍が期待される。
2015年ドラフトのドラフト1位には、
小笠原慎之介、
高橋純平、オコエ瑠偉とくすぶっている選手が多い。
中日の小笠原は1年目が15試合、2年目が22試合、開幕投手を務めた3年目は17試合とコンスタントに起用されてきたが、いずれも負け越し。2020年は成績不振でわずか4試合の登板に終わった。2021年はまさに勝負の1年となる。
ソフトバンクの高橋は、入団から数年は一軍登板機会が得られなかったが、2019年に45試合に起用されて17ホールドをマーク。このまま一軍定着かと思われたが、2020年は肩の故障もあり再び一軍登板機会が得られなかった。二軍戦でも不安定な投球が続き、2021年は一軍を目指すところから再スタート。ソフトバンクは中継ぎが充実しており、どこまで食い込めるか注目だ。
注目の高卒野手だった楽天のオコエは、一軍での出場機会は得られているものの、外野のレギュラー定着に届かないシーズンが続いている。2018年や2019年はレギュラー定着のチャンスを得たが、残念ながらモノにすることはできなかった。2020年は不振が続き、プロ入り後初めて一軍出場なし。
石井一久新監督からも苦言を呈されており、5年目の今季はまさに崖っぷちといえる。
今季こそは結果を残したい投打の注目選手
2016年のドラフトでは田中正義が5球団競合の末にソフトバンクに入団。外れ1位では5球団が
佐々木千隼を指名し、抽選の結果
ロッテが獲得した。プロ注目も2人であったが、田中はプロ4年間でわずか11登板で1敗、佐々木は27試合で6勝8敗と、ともに目立った活躍は残せていない。田中は2020年も右ヒジの不調で一軍登板なしに終わったが、シーズン終盤に実戦復帰すると最速156キロをマーク。フェ
ニックス・リーグに参加するなど調整は順調だ。佐々木も短いイニングでの起用で復活を目指しており、6年目のブレークを期待したい。
2017年ドラフトは
清宮幸太郎を7球団が競合。
日本ハムが交渉権を獲得し、清宮は日本ハムでプロ生活をスタートさせることになった。1年目は腹膜炎の影響もあり開幕一軍入りはできなかったが、シーズン途中に昇格すると53試合に出場して7本塁打をマーク。翌2018年はさらなる飛躍が予想されたが、ケガの影響で81試合7本塁打、打率.204と低迷した。順調かと思われた2020年も打率.190に終わり、期待に応えているとは言い難い。今季こそは、同期の
村上宗隆や
安田尚憲に負けない活躍を見せてもらいたい。
2018年のドラフトは大阪桐蔭高校の根尾昂に注目が集まった。本番では4球団が競合し、見事に中日が獲得。高卒野手がプロ入り後すぐに活躍するのは過去の例から見ても難しく、根尾もプロの壁にぶつかり、1年目は二軍暮らしとなった。2年目の2020年は一軍スタートとなるも、出場はわずか9試合。厳しいシーズンとなった。ただ、過去2年間、二軍戦でみっちりと好守両面を鍛えており、3年目の今年は与田監督からの期待も大きい。
京田陽太という不動の遊撃手に挑み、その座を奪えるのか注目だ。
ドラ1入団選手の中で、活躍を期待したい選手をピックアップして紹介した。くすぶっている選手が奮起し台頭すれば、チーム内競争が激しくなって戦力も一気に高まる。特に昨季優勝まであと一歩だったチームや、Aクラス入りを期するチームにとっては大きな助けとなるだろう。2021年は、思うような結果が残せていないドラ1選手のブレークに注目してもらいたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM