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背番号物語

【背番号物語】DeNA「#22」ドライチ右腕が継承したナンバーは他チームに波及した守護神の源流

 

「22」にこだわった男


横浜で背番号「22」を着けた佐々木。マリナーズでも同じ番号を背負った


 ドラフト1位でDeNAへ入団した入江大生が、この2021年から「22」を背負うことが話題を集めた。言うまでもなく、すべての新人は、いずれかの背番号を着けるものだが、背番号についてに限れば、もっとも話題を呼んだルーキーの1人ではないか。もちろん、それは「22」だからだ。

 この「22」は、まだチームが横浜だった1998年、38年ぶりリーグ優勝、日本一の立役者となったクローザーの“大魔神”佐々木主浩の背番号。佐々木はドラフト1位で90年に入団。当時のチーム名は大洋で、その1年目から「22」を背負うと、2年目からクローザーに定着、リーグ最多の58試合に投げまくった。佐々木といえば日本一イヤー、勝ちゲームの最終回に限定して登板するイメージが強いが、当時は1イニング限定ではなく、投球回は117イニング。最終的に防御率2.00で、あと一歩で規定投球回に到達して最優秀防御率のタイトルも射程圏に入っていたが、投げさせてもらえなかったという。

 大洋ラストイヤーの92年が初タイトルとなる最優秀救援投手。95年から98年まで4年連続で戴冠して、98年には22試合連続セーブもあり、46セーブポイントでプロ野球の頂点にも立った。誕生日が2月22日で、時刻も2時22分だったという佐々木は、さまざまな出来事が偶然22になることが多かったともいう、背番号も「22」にこだわりまくり、2000年に移籍したマリナーズでも「22」。04年に横浜へ復帰してからも、翌05年いっぱいで引退するまで「22」を背負い続けた。

佐々木の後に背番号「22」を着けたベタンコート


 ただ、たとえ功労者であろうと、とにかく背番号の系譜に無頓着なのが、このチームの“伝統”。佐々木が海を渡ると、その「22」は助っ人で右腕のベタンコートに与えられる。だが、そのベタンコートは1勝のみに終わって1年で帰国。新人で左腕の吉見祐治が翌01年に継承して、2年目には11勝を挙げて新人王を争う活躍も、佐々木の復帰によって“剥奪”されて「21」に。佐々木の引退により、さすがに1年間は欠番だったが、07年には新人の高崎健太郎が後継者に。佐々木と同じ右腕ではあったがクローザーではなく、主にスターターとして暗黒期ともいえる時代のチームを支え続けた。

 高崎の引退で投手ながら「1」を着けていた右腕の熊原健人が18年に後継者となるも、翌19年の開幕を前に楽天へ移籍。これで「22」は空席となり、迎えた21年、佐々木と同じ右腕の入江に「22」が与えられた。近年は背番号に無頓着な“伝統”が変わり始めたようにも見えるDeNA。「22」に期待が込められているのは間違いない。ただ、これも長い歴史では異例のこと。系譜は独特な物語を紡いでいる。

捕手ナンバーの先駆け?


 初代の清家忠太郎は1リーグ時代から活躍した捕手だが、1年の在籍で引退。のちに「22」は捕手が目立つナンバーとなるが、まだ捕手の印象がなかった時代だ。そこから内野手の木村保久、捕手の岡本三男が1年ずつ着けて、53年にプロ2年目の引地信之が「39」から変更して正遊撃手として活躍した。その引退により60年から63年まで背負った若生照元が初めての投手で、佐々木と同じ右腕、そして東北高の先輩。そこから笠崎壮夫西三雄が2年ずつ、1年の欠番を挟んで辻博司が3年、高垣義広が1年と右腕が続くも、73年に内野手の清水透(宏悦)が背負ってユーティリティーとして活躍した。

 80年に清水は「23」となり、西武から移籍してきた右腕の池田弘が「22」を着けたが3年で引退。83年に阪神から来た加藤博一が継承するも1年で“剥奪”され、新人で内野手の銚子利夫が後継者となった。87年に銚子が「9」、それまで「9」だった若菜嘉晴が「22」となったが、若菜は89年シーズン途中に日本ハムへ放出、これで「22」は空席に。佐々木が希望どおり「22」を背負って、チームを日本一へと導いていくことになる。

 ただ、いかに佐々木が日本一の立役者であっても、チームの“伝統”を打破するには至らず。むしろ佐々木の存在によってクローザーの印象が強くなった「22」が他チームに波及、ヤクルト高津臣吾、阪神の藤川球児ら球史に残るクローザーの背中で輝くようになっている。

【DeNA】主な背番号22の選手
引地信之(1984〜86)
佐々木主浩(1990〜99、2004〜05)
吉見祐治(2001〜03)
高崎健太郎(2004〜17)
入江大生(2021〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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