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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

新しい発見は何度も…「記録の神様」に教えられたこと

 

在りし日の千葉功さん


 パ・リーグの記録部長を約20年務め、週刊ベースボールでは「記録の手帳」の連載を2897回執筆した千葉功さんが1月26日に亡くなった。記録の手帳の執筆は手書きだったため、文字起こしする手伝いをさせていただくなど、かつて大変お世話になり、たくさんの勉強をさせていただいた。

 記録員を退職されてからも、日本に限らず、メジャー・リーグも観戦し、自身のノートに記録をつける。そのデータをもとに数字で野球を切り、ワンプレーの重要さを伝え、ときに昔と現在の野球を比較するなど、あらゆる角度から野球の魅力を伝える記録の手帳は、週刊ベースボールの読者にも人気の連載だった。

 千葉さんは目立った記録だけにとどまらず、普段では扱われないような数字にも焦点を当てる。そのため野球を記録の観点から見ると、これほど深く楽しむことができるのかと、新しい発見を何度もさせられた。球団に関係なく、選手の知名度にも左右されることなく扱うその内容はとても興味深いものだった。特に印象に残っているのは外野手の補殺について書かれた記事だ。職人のようなその1プレーでどれほどの失点が減り、チームを助けていたのか。特別な記録が出たときではなくてもその数字の偉大さを伝え続けていた千葉さん。野球の奥深さを知るからこその原稿だった。

 70歳を超えてもなお、毎年渡米して野球観戦を楽しんでいたが、最も驚いたのはその旅行中であっても、現地から原稿を送ってきていたことだ。忙しい日も、体調がすぐれない日もあったと思うが、毎週、毎週数字と向き合い原稿を書き、選手をたたえ、野球のおもしろさを伝え続けた。誰もが見落としそうな成績も拾い集め、ていねいに見つめて分かりやすく伝えてくれたおかげで、多くの選手の努力が認められていたことも確かだ。それはとても大切な仕事だと感じている。

 千葉さんの仕事ぶりはもちろん、その視点も含め見習うべきことがたくさんある。今年はどんな数字を選手たちは残してくれるのだろうか。クローズアップされることがない選手たちの努力にも光を当てられるよう、ていねいにシーズンを見ていきたい。

文=阿部ちはる 写真=BBM
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