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根尾昂、田中正義…今季3年目以上で新人王資格を有しているのは何人?

 

 新人王は、海外プロリーグに参加した経験がなく、支配下選手に初めて登録されてから5年以内の選手が対象。さらに、投手なら一軍での登板イニング数が30イニング以内、打者は前年までの一軍での打席数が60打席以内であることが条件だ。そのため、支配下登録されてから5年目に近づくほど条件を満たす選手は減っていく。実際、3年目以降での新人王受賞者は直近でも過去9人と少ない。では、2021年シーズンで支配下登録から3年目以上となる選手のうち、新人王の受賞資格を満たしている選手は何人いるのだろうか?

支配下登録3年目はやはり根尾に注目



 まずは今季で支配下登録3年目を迎える選手から。この世代は52人が新人王の受賞資格を有している。注目は中日の根尾昂だ。根尾はプロ1年目の2019年は2試合、昨季は9試合の出場でまだ27打席しか経験しておらず、3年目の今季も新人王受賞のチャンスが残っている。着実に力を付けており、今季大ブレークしてもおかしくはない。

 2017年ドラフトで育成選手として入団したDeNA中川虎大は、2019年に支配下選手となったため今季で3年目。昨季はシーズン序盤に一軍昇格を果たしたが、3試合に登板して0勝1敗、防御率7.11と持ち味を生かせなかった。ただ、持っているポテンシャルは高く、課題の制球面が成長すればDeNA投手陣を支える存在になるだろう。

 新人王資格を有している3年目選手で面白いのが、ソフトバンクスチュワート・ジュニアだ。ブレーブスとは契約合意に達しなかったため、MLBの参加経験がないということでNPBの新人王受賞資格を満たしている。昨季は二軍戦で15試合に登板し、3勝7敗、防御率4.16を記録。今季は一軍で登板する機会があるだろう。外国人初の新人王受賞となるか注目だ。

レギュラー奪取の可能性も高い選手がそろう



 今季で支配下4年目となる選手で新人王資格があるのは33人。こちらは主に2017年ドラフト組が中心だ。この世代では7球団競合の清宮幸太郎が注目株だった。1位指名で清宮を外したヤクルト村上宗隆を抽選で獲得したが、その村上が見事に2年目で新人王に輝いている。

 さすがに4年目となるとすでに新人王資格を失っている選手が多いが、まだ資格を有している中には新人王が期待できる選手もいる。例えば巨人岸田行倫は、昨季34試合に出場し、プロ初本塁打も記録。少ない出場機会の中で打率.304と結果を残しており、成長著しい存在だ。

 ソフトバンクは、育成再契約の吉住晴斗が面白い存在だ。育成契約を打診された際は現役引退を考えていたが、ダルビッシュ有からの突然の説得により翻意。実際、昨季終盤にサイド転向した結果が出始めており、キャンプの結果次第では開幕一軍をつかむ可能性もゼロではない。

 4年目で初となるキャンプ一軍スタートとなった日本ハム・北浦竜次も面白い存在だ。昨季は一軍でふがいない結果に終わったが、今季は開幕ローテ入りも目指す。また、DeNAの阪口皓亮は、昨季イースタンで防御率2.07と安定したピッチングを披露し、リーグトップの勝率をマーク。一軍ではこれまで通算6試合でいまだ勝ち星なしと苦しんでいるが、三浦大輔監督の期待も高く、まずは一軍定着が目標となる。

5球団競合のドラ1投手の復活なるか


ソフトバンク・田中正義


 新人王資格を有している支配下5年目選手は19人と少ない。

 この世代の注目選手はやはりソフトバンクの田中正義だ。2016年ドラフトでは5球団が競合した逸材だが、1年目から右肩の不調に悩まされ、2020年も右ヒジの不調で一軍登板はなし。これまで一度も満足に投げられたシーズンがなく、今季で5年目ながら登板は11試合。投球回は14.1と少なく、まだ新人王の可能性を残している。昨季終盤に実戦復帰し、自己最速の156キロをマークするなど現在は順調だ。

 中日の5年目・石垣雅海は今季注目の若手スラッガー。昨季、プロ入り初本塁打を放ったが、一軍では結果が出せず二軍落ち。しかし、ファームでは40試合に出場して打率.372、5本塁打と好調を維持した。与田剛監督はキャンプで石垣にチャンスを与えることを示唆しており、ぜひともその期待に応えたいところ。攻撃力不足に悩む中日の救世主になれる能力は持っている。

 石垣と同じく、今季ブレークの可能性を秘めたスラッガーが、日本ハムの今井順之助だ。昨季は一軍の試合に出ることは叶わなかったが、二軍で58試合に出場して打率.267、5本塁をマーク。OPSはDeNAの細川成也に次ぐ.812とパワーのあるところを見せつけた。チームは2年連続でBクラスに沈んでおり、上位進出のためには若手スラッガーの台頭が必要だ。

 今季で支配下登録から3年目以上となる選手で、新人王資格を有しているのは104人。中には今季の台頭が予想される注目の選手もおり、史上10人目の「入団3年目以降での新人王」が生まれる可能性もある。しかし、今年もプロ1年目選手に逸材が多く、1年間厳しく揉まれた2年目の選手も非常に手強い存在。果たして誰が今年の新人王となるのか、期待しながら開幕を待ちたい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM

新人王受賞資格を有する3年目選手一覧


●支配下登録3年目
増田陸(巨人)
横川凱(巨人)
松井義弥(巨人)
山下航汰(巨人)
直江大輔(巨人)
堀岡隼人(巨人)
齋藤友貴哉阪神
川原陸(阪神)
湯浅京己(阪神)
片山雄哉(阪神)
石橋康太(中日)
垣越建伸(中日)
滝野要(中日)
根尾昂(中日)
勝又温史(DeNA)
益子京右(DeNA)
知野直人(DeNA)
中川虎大(DeNA)
林晃汰広島
中神拓都(広島)
田中法彦(広島)
正隨優弥(広島)
羽月隆太郎(広島)
坂本光士郎(ヤクルト)
鈴木裕太(ヤクルト)
久保拓眞(ヤクルト)
吉田大成(ヤクルト)
市川悠太(ヤクルト)
杉山一樹(ソフトバンク)
野村大樹(ソフトバンク)
水谷瞬(ソフトバンク)
奥村政稔(ソフトバンク)
スチュワート・ジュニア(ソフトバンク)
山口航輝ロッテ
古谷拓郎(ロッテ)
松田進(ロッテ)
土居豪人(ロッテ)
渡邉勇太朗西武
粟津凱士(西武)
牧野翔矢(西武)
齊藤誠人(西武)
高木渉(西武)
引地秀一郎楽天
佐藤智輝(楽天)
鈴木翔天(楽天)
生田目翼(日本ハム)
万波中正(日本ハム)
柿木蓮(日本ハム)
田宮裕涼(日本ハム)
富山凌雅オリックス
宜保翔(オリックス)
神戸文也(オリックス)

新人王受賞資格を有する4年目選手一覧


●支配下登録4年目
岸田行倫(巨人)
湯浅大(巨人)
熊谷敬宥(阪神)
石川翔(中日)
高松渡(中日)
伊藤康祐(中日)
阪口皓亮(DeNA)
齋藤俊介(DeNA)
櫻井周斗(DeNA)
宮本秀明(DeNA)
山本祐大(DeNA)
笠井崇正(DeNA)
中村奨成(広島)
山口翔(広島)
永井敦士(広島)
大村孟(ヤクルト)
蔵本治孝(ヤクルト)
金久保優斗(ヤクルト)
吉住晴斗(ソフトバンク)
増田珠(ソフトバンク)
田浦文丸(ソフトバンク)
山本大貴(ロッテ)
永野将司(ロッテ)
西川愛也(西武)
綱島龍生(西武)
渡邊佑樹(楽天)
寺岡寛治(楽天)
田中瑛斗(日本ハム)
難波侑平(日本ハム)
北浦竜次(日本ハム)
鈴木遼太郎(日本ハム)
本田仁海(オリックス)
廣澤伸哉(オリックス)

新人王受賞資格を有する5年目選手一覧


●支配下登録5年目
浜地真澄(阪神)
長坂拳弥(阪神)
藤谷洸介(阪神)
石垣雅海(中日)
丸山泰資(中日)
進藤拓也(DeNA)
高橋昂也(広島)
田中正義(ソフトバンク)
古谷優人(ソフトバンク)
九鬼隆平(ソフトバンク)
宗接唯人(ロッテ)
中塚駿太(西武)
西口直人(楽天)
高田萌生(楽天)
高山優希(日本ハム)
郡拓也(日本ハム)
今井順之助(日本ハム)
岡崎大輔(オリックス)
山崎颯一郎(オリックス)
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