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巨人・王貞治はスランプから抜け出せたのか。長嶋茂雄の分析はいかに?/週べ回顧1972年編

 

 3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

川上哲治監督のアドバイスも奏功し


表紙は巨人堀内恒夫


 今回は『1972年7月17日号』。定価は100円。

 1972年6月3日時点で、巨人・王貞治は打率.250、26打点、12本塁打と低迷が続く。
 しかし、ここから突然の大爆発。6月18日には打率.304、40打点、19本塁打とした。
 ひとつのきっかけは6日からの広島2連戦だったようだが、まず前夜の5日、柴田勲らとともに広島のネオン街へ向かったのもいい気晴らしになったようだ。
 前年までなら珍しくなかったが、この年は開幕後、いっさい出掛けていなかったという。

 さらに試合前、川上哲治監督からこんなアドバイスももらった。
「王! どうせ打てんのなら思い切り振ってみろ」
 この日、2本塁打をマークした王は、
「あれで本当にふんぎりがついた。8年前、53号の日本新記録(最終的には55本)をつくったころは、来た球を無心にひっぱたいていた。あのときはがむしゃらにやっていた。それで面白いように打てた。あれでいいんだ、ということですよ」

 ただ、これで完全に復活したわけではなく、6月30日には打率.288に落ちている。
 実は、王の打撃の狂いは、このとき始まったものではない。
 8年連続の3割超え、3年連続の首位打者の後、.276に終わった前年の71年から続いているものだ。

 長嶋茂雄はこう分析する。
「ワンちゃんのバッティングは機械で言えば精密機械だ。オーソドックスに自然に打っている自分のバッティングと比べると、人間が手を加えてつくり出した精密なつくりもの、という感じだ。
 自分の場合は自然とやっているから、多少どこかに狂いがあっても、あまり全体には響かない。ワンちゃんのは、ひとつどこかの部品に狂いがあっても、全体がおかしくなっちゃう。
 あれだけ長いこと悩んだんだもの。そう短時間でよくなるというものではない。短い後遺症を繰り返し、繰り返しして、それで徐々に完璧に戻るということでしょう」
 
 では、また月曜に(初出修正)。

<次回に続く>

写真=BBM
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