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「大学日本一」「4年後のドラフト指名」早大新人に共通するブレない信念

 

伝統の早慶戦に心を打たれて


早大のアスリート選抜入試で合格した4選手が2月9日、全体練習に合流した(左から筑陽学園高・中村敢晴内野手、中京大中京高・印出太一捕手、東邦高・吉納翼外野手、山梨学院高・栗田勇雅捕手)


 4人の個性が融合すれば、ものすごい力になる。

 早大のアスリート選抜入試で合格した4選手が2月9日、全体練習に合流した。期待の1年生が胸に秘める共通の思いは、2つある。

 早大への志望理由として、伝統の早慶戦に心を打たれ、WASEDAのユニフォームに袖を通したいと、強いあこがれを抱いた。そして、大学入学後は神宮球場で活躍し、東京六大学リーグ戦優勝、大学日本一に貢献した上で、4年後のドラフト指名を目指す。これが、ブレない信念だ。

 印出太一は中京大中京高で高橋宏斗(中日ドラフト1位)とバッテリーを組み、2019年11月の明治神宮大会で優勝した。昨年は春のセンバツ、夏の地方大会、全国大会(甲子園)が中止。同夏の愛知県高野連主催の独自大会、センバツ出場32校が招待された甲子園交流試合を通じ、前年秋から公式戦無敗の28連勝で高校野球を終えた。印出は「勝てる捕手」を信条としており、「(プロで)宏斗とバッテリーを組みたい。今度は背中を追いかけていきたい」と目を輝かせている。

 印出と同じ捕手で、ライバル関係となるのが栗田勇雅だ。山梨学院高では1年夏から2年夏まで3季連続で甲子園出場。昨年8月の甲子園交流試合を含め、計4度の全国舞台に立ち、申し分のない経験値が武器だ。「スローイング、ストップ、配球、周りを見る力。すべてで勝れるようにしたい」と、早くも印出を意識する。現チームには不動の正捕手で四番の岩本久重(4年・大阪桐蔭高)がおり、身近な先輩から技術を吸収するつもりだ。

 中村敢晴は父・壽博さん(日本文理大監督)が早大OBだ。兄・宜聖さん(ソフトバンク育成)は、父が1992年夏に全国制覇を遂げた西日本短大付高へ進むも、弟は「甲子園で優勝していない学校で勝ちたい」と、筑陽学園高へ進学。2年春、夏の甲子園に出場した。大学進学に際しては、ビデオで見た父の神宮でのプレーにクギ付けとなり、ワセダの門をたたいた。「父が果たせなかったシーズン最高打率(壽博さんは3年秋に打率.475で首位打者)を目指したい」と、01年秋の慶大・喜多隆志(元ロッテ)の.535の記録更新を見据える。右打ちの遊撃手として、巨人坂本勇人を理想のプレーヤーに挙げる。

 吉納翼は東邦高2年春のセンバツで、30年ぶりの優勝に貢献。明石商高との準決勝では、同級生右腕・中森俊介(ロッテ同2位)から先制3ランを放った。「あの一本で、人生が変わった。あれがなければ、今もここにいないと思う」と、感慨深い一発だったという。高校通算44本塁打。早大では「リーグ戦通算本塁打を超えたい」と決意を語る。慶大・高橋由伸(元巨人)の持つ23本塁打に挑戦していく。

小宮山監督は「楽しみ」


 この日、4人は主力選手で編成されるAチームの練習に参加。早大・小宮山悟監督は「ケガをしないでくれ! と。動きについては、可もなく不可もなく。張り切ってやっていたのは何よりです。1週間見て、そん色ないと判断すれば(Aチームの練習に)そのまま残す。無理なようであれば、のんびりさせる。焦ってケガをさせたくない」と見通しを語る。

 そして、指揮官はこう続けた。

「早稲田に! という思いで、こちらに来てくれたので、楽しみにしています」

 高校時代、NPBスカウトが熱視線を注いだ好素材である。プロ注目の潜在能力に加えて、「早稲田でプレーしたい」というモチベーション。昨秋、早大は10季ぶりのリーグ優勝。常に勝利が求められる名門校において、心身が充実する新人がチームを活性化させていく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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