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背番号物語

【背番号物語】広島「#4」助っ人の二塁手がエポックに? 系譜に光るスイッチ初の首位打者は

 

盗塁王の経験者に始まる系譜


背番号「4」を着け、ハッスルプレーでもファンを沸かせたアイルランド


 広島の「4」に目立っていたのが助っ人と二塁手。メジャーではヤンキースのルー・ゲーリッグが一貫して着けていた栄誉あるナンバーであるとともに、高校野球では二塁手の背番号であり、これはプロ野球のチームほとんどに共通する傾向でもある。一方、助っ人の二塁手は少数派だが、助っ人で、二塁手でもあり、さらには「4」を背負っていた選手が広島にいる。1983年に来日したアイルランド。在籍したのは2年間だけだったが、一塁へのヘッドスライディングをトレードマークに、ハッスルプレーで人気を博した好漢だ。守っては職人肌で、隠し玉でファンを沸かせたこともある。ラストシーンも本塁クロスプレーによる不運の骨折。これで退団になってしまったが、広島の「4」では、アイルランドの存在はエポックといえるかもしれない。

プロでスイッチに転向し、首位打者も獲得した正田


 その後継者が正田耕三。身長170センチとプロ野球選手としては小柄ながらも、ドラフト2位で85年に入団すると、1年目から「4」を背負って57試合に出場する。このシーズン終盤にはスイッチヒッターに転向。そこから着実に出場機会を増やしていった。二塁の定位置を不動のものにしたのが87年。打率.333で首位打者のタイトルを獲得した。これはスイッチヒッターとしては初めての快挙。以降2年連続で首位打者となり、3年連続はならなかったものの、その89年には終盤にゲーム6盗塁を決めるラストスパートもあって34盗塁で盗塁王に。87年から5年連続でゴールデン・グラブも受賞している。昭和の黄金時代が遠くなりつつある広島にあって、機動力野球を継承する存在だった。

 その後は二番打者が増え、ヒザの故障もあってチーム打撃に専念。安打や盗塁は減っていったが、堅実な犠打などで打線を支え続けた。コーチ兼任となった14年目の98年も110試合に出場しながら、これがラストイヤー。通算1500安打に到達したばかりで、まだまだ現役を続けられたはずだが、若手の出場機会を増やすために自ら球団に引退を申し入れたものだったという。正田の14年が広島の「4」では最長となる。その引退から20年を超える時間が経った現在も、広島の「4」といえば真っ先に正田を思い起こすファンは少なくないだろう。

 古くから避けられる傾向の強い「4」だが、広島ではプロ野球に参加した50年から着けられていて、初代の山口政信阪神の結成に参加したレジェンド。古巣では盗塁王も経験した外野手だった。52年からは投手の菊池博仁と杉浦竜太郎、内野手の三村勇夫(勲)と小野拓、投手の藤村隆男が、それぞれ1年の短期間リレー。初めて長く「4」を着けたのが58年から65年の小坂佳隆で、華麗な守備で鳴らした二塁手だった。62年には広島の「4」で初のベストナインに。小坂の引退で66年に継承したのが、第1回ドラフト1位で指名された内野手の佐野真樹夫だった。だが、佐野は4年で引退。阪神から移籍してきて3年目、これがラストイヤーとなる朝井茂治を挟み、後継者となったのが佐野とドラフト同期、ドラフト4位で指名された水谷実雄だ。

系譜で初の首位打者


広島でも背番号「4」で主力打者として活躍した水谷


 正田の首位打者は広島の「4」では2人目となる。第1号は、投手から外野手に転向、71年に「38」から「4」に変更して、一塁を守った78年に打率.348で戴冠した水谷実雄だ。水谷は83年に移籍した阪急(現在のオリックス)でも「4」を背負って1年目から打点王に輝いている。そこから広島の「4」はアイルランド、正田と安定期に入っていった。

 ただ、正田が引退してからは、ふたたび期間が短くなる。後継者は「46」から変更した2年目で内野手の兵動秀治だったが、2003年には「58」に。新たに助っ人で遊撃手のシーツが背負うも、2年で阪神へ移籍。続いて「00」から変更した内野手の尾形佳紀が07年にサヨナラ弾を放ってチーム3500勝に花を添えたが、故障に苦しみ09年オフに引退した。「12」からの変更で10年に継承したのが内野手の小窪哲也。不動の定位置をつかむことはできなかったが、広島ひと筋で2020年までプレーを続けた。迎えた21年の開幕を前に、広島の「4」は後継者を待つ。

【広島】主な背番号4の選手
小坂佳隆(1958〜65)
水谷実雄(1971〜82)
アイルランド(1983〜84)
正田耕三(1985〜98)
小窪哲也(2010〜20)

文=犬企画マンホール 写真=BBM

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