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鈴木誠也は三番? 四番? 広島にとってベストなクリーンアップの構成とは

 

昨季は三番で34試合、四番で82試合


あまり左ヒザを折り込まない、新しい足の上げ方で2021年シーズンに臨む鈴木誠也。打順は三番になるのか、四番になるのか


 2月1日に始まったプロ野球のキャンプもそろそろ折り返し点。第3クールで雨にたたられ、実戦練習が不足していた広島も、ようやく16日にロッテと練習試合を行い、対外試合がスタートした。実戦形式練習や試合が始まると、何と言っても気になるのは、そこでどんなオーダーが組まれるか。もちろん、ときにテスト的なオーダーが組まれることもあるが、そこには首脳陣のプランが垣間見られることになるからだ。

 今季の広島で言えば、ここまでのシート打撃や紅白戦で、いずれも鈴木誠也を三番に置く形を取っているのが目を引く。そして四番には新外国人のケビン・クロンが座る形になっており、現状、まずは首脳陣がこの形をベースに考えていることが分かる。鈴木誠也は今キャンプで「侍ジャパン」の稲葉篤紀監督から直々に内示を受けているとおり、東京五輪が開催されれば「ニッポンの四番」になることは間違いない選手だが、それでも自チームでは「三番がベスト」という選択になる可能性があるあたりが、野球というゲームの難しさであり、また面白いところだ。

 この「三番・鈴木誠」は、昨年の終盤にも実行された。鈴木は昨年、開幕から9月27日までは四番(欠場1試合)、9月28日から11月7日までは三番(この間、代打出場1試合)、最後に打率3割狙いで打席数を増やすために1試合一番に入って、最終戦は欠場している。

 ちなみに先発打順別の成績を見ると、三番では34試合で打率.271、6本塁打、22打点、2盗塁。四番では82試合で打率.300、18本塁打、49打点、4盗塁だった。これだけを見ると、鈴木本人は四番に置いたときのほうがいい結果が出ていることが分かる。

 しかし、だから「やっぱり四番にすべき」という結論を導き出すのもまた早計かもしれない。チームの得点を見ると、鈴木誠がスタメン四番だった82試合の1試合平均得点は4.22だったのが、スタメン三番になってからの34試合では4.38点と上がっているのだ。もちろん他の打者の調子などのファクターもあるので、それだけで結論を導くのは乱暴な部分もあるが、単純計算だと、「鈴木誠が三番のほうが、チーム全体の攻撃はうまく回る」という面は無きにしもあらずのようなのだ。裏返せば、「攻撃がうまく回るというメリットが大きいと見込まれれば、鈴木誠の三番はアリ」と考えられるということになる。

クロン、西川がカギ?


 今季に話を戻すと、現状、最も可能性の高いクリーンアップは、鈴木誠のほか、クロンと、クロンがファーストになればレフトに回ることになる松山竜平の3人での構成。この顔ぶれになる場合は、やはり3人の中では唯一? 足が使える鈴木誠を三番に置くのが攻撃の回りが最もいいと考えるのが普通だろう。つまりはこれが現状の広島首脳陣の構想であり、となると、「鈴木誠三番構想」は、クロンが四番を十分務められるだけの成績(長距離打者だけに、特に打率がカギ)が残せるかどうかにかかってくると言えそうだ。もしもクロンが期待外れでクリーンアップを打てるに足る成績が残せず、鈴木以外のクリーンアップが松山と堂林翔太あたりになるようなら、三番・堂林、四番・鈴木誠、五番、松山の並びも考えられる。

 そしてもう一つのカギは、本来三番を打つべき打者である西川龍馬の状態だ。昨年11月に右足首を手術したため、今季は二軍キャンプスタートになっているが、もしも元通り走れる状態になって復帰できるようなら、西川は鈴木誠の前に置いたほうが打線の得点効率は良くなるはずなので、そのときは鈴木誠は四番に戻ることになるだろう。もしも西川の復帰が、昨年終盤のように下半身に不安を残した状態の場合は、鈴木誠の三番は続行という形になるか。

 鈴木誠本人は、相変わらず打撃への探求心が旺盛で、今キャンプでも、左ヒザをあまり大きく折らず、腰に角度をつけるようにして右足に重心を置く新しいフォームを研究して、来るべきシーズンに備えている。自分の打順が何番であろうが、チームの勝利が手に入ればそれでよし、という選手なので、どの打順に置かれようと、その引き出しの多さで十分対応していくとは思うが、打順が他の選手の状況次第というのもなかなか落ち着かない話かもしれない。2月16日の対外試合初戦では3打数ノーヒット、1三振に終わったクロンがこの後に火を噴き、構想どおりに打線が出来上がっていけば何ら問題はないわけだが、さて、果たしてどうなるか。

文=藤本泰祐 写真=BBM

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