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背番号物語

【背番号物語】ソフトバンク「#21」南海から続くエースの系譜。短期間には豪華な顔ぶれも

 

左腕から左腕へ


現在、ソフトバンクで「21」を背負っている和田


 大阪から九州は福岡へ移転し、チームも南海からダイエーを経てソフトバンクとなったホークス。その長い歴史にあって、どの背番号がエースナンバーかといえば、やはり「21」にトドメを刺す。この2021年シーズンを40歳で迎える和田毅の背番号だ。和田はダイエー時代の2003年に入団、1年目から14勝を挙げて新人王に。10年に自己最多の17勝で最多勝、MVPにも輝き、翌11年オフにメジャーへ。16年に復帰すると、ふたたび「21」で15勝、勝率.750で最多勝、最高勝率の投手2冠。去る20年も8勝1敗と貯金を稼いだ。「21」の系譜でも和田は15年目を迎えて最長を更新中。10年を超えて着けた選手は和田を含めて3人だけだ。

 南海がプロ野球に参加した1938年の秋季から「21」の歴史は始まる。初代の宮口美吉も左腕で、チームの低迷もあって5勝11敗と負け越しながら、リーグ5位の防御率2.25という安定感を見せた。翌39年は2ケタ10勝。登板のない日には野手として出場することもあった。だが、そのオフに応召。その翌40年に右腕の川崎徳次が2代目となり、プロ2年目となる41年から負け越しながらも2年連続2ケタ勝利の活躍を見せた。

 一方、42年に復帰した宮口は「24」を着けるも、野手としての出場のみに終わり、そのオフには宮口も川崎も応召。川崎は戦後の巨人でプロ野球に復帰して2リーグ制となってからも活躍したが、宮口は戦火に消えた。この間の「21」は、43年は捕手の阪本政数が着け、背番号の廃止と戦争による中断、1年の欠番を経て、南海の結成に参加した内野手の中野正雄が復帰して47年の1年だけ着けて引退。翌48年、ふたたび「21」は投手の背中に戻る。

 5代目の「21」は柚木進。系譜2人目の左腕で、シベリア抑留から生還して27歳で入団した。1年目から19勝を挙げ、2リーグ制となった50年からも3年連続19勝。51年はチームメートの服部武夫に続くリーグ2位の防御率2.08だったが、この51年だけの特別な投球回ルールのため最優秀防御率は柚木が戴冠、翌52年には2位に大差をつける防御率1.91で2年連続で最優秀防御率、初のMVPに輝いた。柚木は56年までプレーしたが、翌57年もコーチとして「21」を着けている。そして58年、後継者となった右腕により、「21」はエースナンバーの地位を確固たるものにしていく。杉浦忠だ。

最強のサブマリン


南海のエースとして活躍した“サブマリン”杉浦


 美しいアンダースローからの快速球を武器に1年目から27勝を挙げて新人王となった杉浦は、2年目の59年に38勝、防御率1.40という圧巻の投球で、最多勝、最優秀防御率の投手2冠、MVPに。巨人との日本シリーズでも全4試合に登板して4連勝。伝説の“血染めの4連投4連勝”だ。それまで4度の挑戦で、いずれも巨人に敗れていた南海にとって、その巨人に完勝しての悲願の日本一だった。その後もエースとしてチームを支え続けた杉浦だったが、故障で65年からリリーフに回り、70年オフに引退。背番号は現役13年間、一貫して「21」だった。

 杉浦の引退により1年間は欠番で、72年から野崎恒男が3年、75年から長谷川勉が2年と、ドラフト1位の投手が短期間でリレー。77年に広島から移籍してきたサブマリンの金城基泰が背負ったことで「21」も輝きを取り戻し、84年オフに金城が巨人へ移籍すると、1年の欠番を挟み、86年にはドラフト1位で入団した西川佳明が後継者となり、1年目から10勝を挙げて低迷期の南海を支えた。

 西川とのトレードで加入した池田親興が91年から94年まで着けると、翌95年から2年間は現在の監督でもある工藤公康がFAで移籍してきて背負った。「47」の印象が強い工藤も「21」には違和感があったというが、「21」の系譜も混迷。“助っ投”のウエストが1年、近鉄から移籍の山崎慎太郎が2年、ドラフト1位の田中総司が3年と短期間リレーに戻る。ふたたび安定したのは和田が継承してからだ。

 ただ、和田がメジャーでプレーしている4年間だけで2人の投手が「21」を着けている。12年シーズン途中から閉幕まで着けたのが千賀滉大。13年から和田の復帰まで着けたのが岩嵜翔だった。

【ソフトバンク】主な背番号21の選手
川崎徳次(1940〜42)
柚木進(1948〜57)
杉浦忠(1958〜70)
金城基泰(1977〜84)
和田毅(2003〜11、16〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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