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大洋はなぜ巨人に強かったのか/週べ回顧1972年編

 

 3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

二塁手シピンの剛球


大洋のシピン


 今回は『1972年7月24日号』。定価は100円。

 1972年7月2日時点で2位。特に8連覇を目指す首位の巨人に、9勝4敗と圧倒的な強さを誇ったのが大洋ホエールズだ。
 注目は新ヘッドコーチの青田昇。現役時代は天才打者としてだけでなく、自由奔放な言動で知られ、じゃじゃ馬とも言われた男だ。フロント主体での招へいでもあり、別当薫監督とは犬猿の仲ともウワサされた。
 キャンプから衝突必至と言われ、あれこれ書かれたが、意外とうまくやっているようだ。

 青田ヘッドの毒舌のメーンターゲットが、古巣でもある巨人だ。春季キャンプで、
「平均30歳以上のロートルチーム。年寄りには根気がない。首位を走っているうちはいいが、夏場に頭をガンとたたかれて、うちと阪神あたりが上に出たら、巨人はすぐずっこけるわ」
 と豪語。
 4月24日、巨人に6対1と勝利した後は、
「巨人も王(貞治)と長嶋(茂雄)をのぞいたらチリメンジャコの集まりや。ちっとも怖いことないで」
 と言って選手をカッカさせた。
 当時、巨人の高齢化が進み、体格的に小柄な野手が多かったのは事実でもあった。

 ヤジもすさまじかったらしく、悪太郎・堀内恒夫が、人を介し、
「ヤジはいいけど、ベンチの真ん中でやってくれませんか」
 と伝えたことがあった。ベンチの隅からヤジられると余計に気になったらしいが、
「ほっといてくれ。別にお客さんに聞かせるためやないで。選手に聞こえたらいいんや」
 と一蹴した。
 ピッチャーが青田のヤジを嫌がったのは口の悪さだけではない。どうも癖を見破られている様子があったからだ。
 鯨打線も巨人相手だとよく打ち、
「巨人相手だと何点取られても、すぐ取り返せそうな気がしている」(中塚政幸
「巨人の投手の顔が聖徳太子(1万円札)に見える」(松原誠
 これも青田の指示か選手に好き勝手言われていた。

 加えて、この年、巨人の脅威となったのが、二塁・シピン、三塁・ボイヤーの守備だ。
 ボイヤーの堅守はメジャーの名手だから当然にしても、衝撃的だったのがシピンの強肩。セカンドは、小技はあっても肩がイマイチの常識が覆り、捕球する野手の手が腫れあがるような強い球を投げた。
 2人の存在もあって併殺も増え、昨年130試合で104だった併殺が7月4日時点ですでに81。巨人戦は11に対し、18と上回っていた。
 
 では、また月曜に。

<次回に続く>

写真=BBM
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