本塁打王の岡本和真を擁する巨人は昨年、リーグトップタイの135本塁打をマーク
強打が魅力のチームといえば、球界の盟主である巨人や強打者が多く在籍する
西武、
ソフトバンクが挙げられる。では、過去10シーズンの本塁打数を合計すると、この3チームは実際に上位なのだろうか? 「過去10年で最も本塁打を打っているチーム」を調べてみた。
最強ソフトバンクがトップ
2011年から2020年シーズンまでの各チームのシーズン総本塁打数を以下にまとめてみた。
過去10シーズンで最も本塁打を放っているのはソフトバンク。合計本数は1310本となった。2011年以降、12球団トップを通算4度も記録している。特に2018年は過去10シーズンで12球団唯一の200本超えを達成。歴代最多の259本(2004年に巨人が記録)には及ばないものの、強力な打線で日本一となった。
2位は巨人で1300本。ソフトバンクに10本及ばなかった。近年は
DeNAや
広島の後塵を拝すこともあるが、過去10シーズンで100本以下は2シーズンのみ。その2シーズンも3ケタまであとわずかだった。歴代最多の259本塁打を放つような爆発力はもちろん、常にNPBトップクラスの本塁打をたたき出す安定性も巨人打線のすごさだろう。
3位は西武で合計1286本。西武といえば強力打線のイメージが強いが、実際にシーズン100本以下は巨人と同じく2シーズンのみと安定している。主砲が不調でもそのほかの選手が台頭するのが西武の特徴で、主力が失速した昨シーズンもベテランの活躍で107本塁打をマークした。
DeNAは過去10年では1262本で12球団中4位。しかし、2013年以降の勢いがすさまじく、過去5年で見た場合は12球団3位となる753本をマークしている。これはソフトバンク、西武に次ぐ数字で、セ・リーグではトップだ。また、1226本で12球団中5位の広島もDeNAと同じく2013年以降の本塁打数が増加しており、過去5年では730本をマーク。DeNAには及ばないが巨人の711本を超えている。
チーム本塁打のワーストは中日
本塁打の出にくいバンテリンドームを本拠地としている中日
一方、過去10年で総本数が最下位なのが中日。10年トータルだけでなく5年トータルで見ても457本で12球団最少だ。本塁打の出にくい本拠地ということもあり、過去10年で100本塁打以上は2シーズンだけ。かつて「強竜打線」と呼ばれた強力打線の面影はない。昨季はリーグ3位と久しぶりの躍進を見せたが、より上位を目指すには打線のさらなる強化が必要だ。
ロッテも過去10年で883本と本塁打が少ないチーム。2019年は
ブランドン・レアードや
井上晴哉の活躍もあって158本塁打と大きく増加したが、2020年は再び2ケタに減少。過去10年での100本超えは1回のみで、これは12球団で最も少ない。昨季ソフトバンクに迫るリーグ2位となったが、リーグの頂点を奪い取るには空中戦にも強くなる必要がある。
ロッテと同じく「本塁打が少ないイメージ」が強いのが
阪神。実際に過去10年では884本で12球団中下から3番目だ。昨季は主砲・
大山悠輔が28本塁打と活躍し、チーム本塁打は100本を超えた。しかし、大山以外の日本人選手で2ケタ本塁打はなし。強打が武器のルーキー・
佐藤輝明が活躍すれば、阪神打線の厚みが増すだろう。
過去10シーズンの本塁打数を合計したところ、トップはソフトバンク、次いで巨人、西武と「強力打線」のイメージの強い3チームが上位となった。一方、ワーストは中日で、ロッテ、阪神という順番だった。とはいえ、打線は水物だけに意外なチームが12球団トップの成績を残すこともあり得る。果たして今シーズンのチーム本塁打はどうなるのか、今シーズンの各打線に注目したい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM