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【MLB】感染予防のプロトコルはさらに徹底。いかに投手の負担を減らすか

 

選手会と協議を行う中で162試合を行うことを決めたマンフレッドMLBコミッショナー。昨季の60試合からいきなり162試合に戻すことで投手に負担がかからない措置も取っている


 2021年のMLBシーズンは2月17日にキャンプ開始、4月1日に開幕でと予定通どおり162試合行われることになった。少しでも無観客の試合を減らしたい機構&オーナー側は3月22日キャンプ、4月28日開幕で154試合と開幕を遅らせる案を出したが、選手会が拒否した。

 機構は162試合分の給料を払うからと説得したが、選手会にとって、162試合プレーするのは労使協定に明記された当然のことで、給料をもらうのも契約上当たり前。昨季は大統領による非常事態宣言が出たから仕方がなかったが。今年はおそらく出ない。遅らせるなら、何か選手たちを納得させられる譲歩が欲しかったのだろうが、それもない。カウンターオファーもせず、拒否している。

 健康と安全面を考えれば、もっと相談しても良かったのではないか。パートナー同士という自覚はなく互いを信用していない。悲しいかなこれが今のMLBの労使関係である。このオフに失効となる新労使協定の話し合いがうまくいくのかますます心配だ。いずれにせよ、今年も新型コロナ禍で感染予防のプロトコル(規定)を徹底してシーズンに入ることになった。

 昨季と違うのは現場の選手やコーチは常にリストバンドで固定したセンサーを付けて、ソーシャルディスタンスに気を使いながら動くこと。すでにNBAとNFLが使っている道具で、仮に陽性反応が出たときは最近どう動いていたかがわかり感染経路を追える。加えてプロトコルを破ると、出場停止や給料の減額などペナルティが課せられる場合もある。

 10人以上の室内の集まりには行かない。室内のレストラン、バー、ラウンジ、クラブは使わない。遠征中、許可なしにホテルの外に出てはならない。訪問客と会ってはならない。ワクチンによって事態が収束していく望みはあるが、それまでは昨年以上に厳しくするのである。

 春のキャンプも徹底する。最初は個人や8人以下の少人数のグループ練習。2月21日からチームの全体練習が始まるが、なるべく大勢で集まらないように、グループで時間、場所をずらす。オープン戦は27日にスタートし基本7イニング、時には5イニングと短くし、投手の球数がイニング20球以上になれば、監督は3アウトを取っていなくても回を終わらせられる。

 3月14日からは9イニングの試合になる。公式戦、昨季は短いシーズンだったが、45試合が新型コロナの集団感染で延期され、7イニングのダブルヘッダーを使うことなどで、43試合が消化できた。

 昨季はトータルで56度ダブルヘッダーがあったが、84年の76度以来最多である。さらに延長に入ると前年同様無死二塁からのスタートとする。20年の延長戦は78試合。一番長くても13イニング目までだった。この一連のルール、現場の監督やコーチは大歓迎。昨年はショートシーズンで一番たくさん投げたランス・リン投手でも84イニング。70イニングを越えたのが17人だった。

 メジャーでは彼らのイニング数を今季いきなり通常の150以上に戻すのは危険という考えがあり、各チーム612試合、1500近いイニングをいかに分担して投げさせるかが悩みだ。ゆえに投手の負担を減らす工夫は歓迎なのである。


文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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