今季から楽天を率いる石井監督
3月26日の
日本ハム戦(楽天生命パーク)、栄光の開幕マウンド――。その大役を
涌井秀章が務めることを2月27日、楽天・
石井一久監督が明言した。石井監督は開幕投手の条件の一つに「昨年しっかり頑張った人」を挙げている。涌井は昨年、開幕8連勝など移籍1年目ながら抜群の安定感でチームを支えた。さらに11勝をマークして、プロ野球史上初の3球団での最多勝を獲得。その実績に加え、今年の仕上がりの良さから涌井が石井監督の心をがっしりとつかんだというわけだ。
「昨年もしっかりとイニングを投げて勝ってくれましたし、チームのために貢献した一番のピッチャーなので彼に先陣を任せたい」と絶大な信頼を寄せた石井監督。涌井は自身3年ぶりとなる開幕投手で、10度目は現役最多となるが「いつもどおり投げるだけです」とクールにコメントした。それでも「石井監督の最初の試合なので、ウイニングボールを渡せるように頑張ります」と勝利への強い思いを語っている。
現役時代には
西武でチームメートとしてプレーしており、互いの信頼度は非常に高い。また、涌井は契約更改時にも「監督の思いをほかの選手に伝えていければ」と監督と選手のパイプ役を務め、監督を支えていくことを宣言。この師弟関係が今季のチームの象徴となるかもしれない。開幕投手に加え、石井監督が公言したのは翌日の先発投手だ。「涌井で勝って、田中(将大)で勝って、勝ち越しというところを3連戦の中では理想としている」と第2戦の先発には
田中将大の名を挙げた。
昨オフのファン感謝祭の涌井と
則本昂大トークショーでは、開幕後、連勝が3でストップした則本に対し涌井が「お先〜」とプレッシャーをかけ勝利数で競い合うなど切磋琢磨していたというやり取りを明かしている。今季は田中将がチームに加入して先発陣は涌井、田中将、則本、
岸孝之と実績のある名前が並ぶ。お互いが刺激し合い、自然と競争心が高まるのは間違いない。
さらに、石井監督の手綱さばきが相乗効果を生むだろう。ドラフト1位・
早川隆久をどのようにデビューさせるかも気になる。とにかく、開幕から楽天の戦いぶりから目が離せなくなりそうだ。
文=阿部ちはる 写真=BBM