キャンプから実戦へと順調に歩を進めている早川(写真=BBM)
楽天のルーキー・
早川隆久と言えばすっかり、白が定着した感がある。1月の新人合同自主トレ、2月のキャンプを通じてグラブのカラーに注目してきた。ヒモの色以外は、早大時代とほぼ変わらないデザイン(正確にはブロンドと呼ばれるカラー)だった。
なぜ、白へのこだわりを持っているのか?
早大の主将は昨年7月のオープン戦から、この白を基調としたグラブを使い始めた。大学入学以来、リーグ優勝の経験がなかった早川にとって、残されたチャンスは春と秋のみ。チームを白星へ導きたい思いは、相当であった。異例の8月開催となった春はリーグ制覇こそ逃したものの、自己最速を4キロ更新する155キロを計測。ラストシーズンへ確かな手応えを得ていた。
迎えた秋はチーム7勝のうち、6勝(防御率0.39)を挙げる大車輪の活躍で、10季ぶりの天皇杯奪還の原動力となった。春の1勝を加えて、年間7勝負けなしと、目標に掲げていた「無敗」を遂げた。最高のパートナーとともに、学生野球を有終の美で飾ったのだ。
楽天・早川隆久は早大4年時、愛着のあるグラブへの思いを語っていた(写真=矢野寿明)
早川の性格は、一言で説明すれば「ストイック」である。目標に対して、物事を一つひとつ計画的に進める。1日の流れ、つまり、ルーティンを重要視する繊細さがある。道具も大切に使い、グラブへの愛着も人一倍だ。
「プロに入っても、このグラブに頼るかもしれませんね」
早川は昨年のドラフト前にこう語っていたが、やはり、昨年からの「流れ」を大事にしたのだった。
「負けない投手」と言えば、13年にシーズン24勝無敗を飾り、楽天を初のリーグ優勝と日本一へ導いた
田中将大だ。背番号18は古巣へ8年ぶりに復帰。偉大な先輩の背中を、間近で見られる早川は幸運だ。日々進化を遂げる背番号21。今後はオープン戦であるが、注目左腕の動向から目が離せない。
文=岡本朋祐