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背番号物語

【背番号物語】西武「#39」デストラーデに奪われて“出世”するナンバー? 九州では投手と捕手が台頭

 

最初は垣内、続いて豊田


西武の背番号「39」といえばデストラーデ


 2016年から内野手の呉念庭が背負っている西武の「39」。なかなか芽が出ず苦しい時間を過ごしているが、背番号は投打ともに“出世ナンバー”の系譜で、今後のブレークに期待したいところだ。ただ、単純な“出世ナンバー”ではないところが、この「39」の特徴といえる。

 一方、埼玉へ移転して西武となり、1980年代から90年代にかけて黄金時代を謳歌した西武を知るファンは、西武の「39」といえばデストラーデを思い出すのではないか。89年シーズン途中に入団して、秋山幸二清原和博に続く五番打者として90年から3年連続で本塁打王、打点王の打撃2冠に輝いた最強の助っ人スイッチヒッターだ。日本シリーズでも90年から3年連続で第1試合の初打席から本塁打を放ち、日本一への号砲を打ち鳴らした姿もインパクトを残す。

 それまでの常勝チームでも最強と評されるクリーンアップが猛威を振るっていて、V9巨人には「1」の王貞治、「3」の長嶋茂雄による“ON砲”が、黄金時代の広島には「8」の山本浩二、「3」の衣笠祥雄による“YK砲”がいて、いずれも永久欠番になっているが、彼らをしのいで、この“AKD砲”を史上最強とする声もある。もともとの“AK砲”にデストラーデが加わったことで3人もの長距離砲が並び、最後の五番打者が左右両打席からアーチを架けられるのだから、その説得力も申し分なく、デストラーデが92年オフに退団して西武の連続日本一が途切れていることも、“最強説”を補完する。

 その後、デストラーデは95年に復帰しているが、すでに秋山もダイエーへ移籍しており、デストラーデも不完全燃焼に終わって、シーズン途中に退団した。

 インパクトでは系譜でも最強クラスのデストラーデだが、2度の入団のたびに若手が「39」を“剥奪”されている。ただ、この2人とも、そこから風向きが変わった。デストラーデは最初の入団で「39」を希望。その89年に開幕から「39」を着けていたのが新人の垣内哲也。当時は捕手だったが、その後は「63」、「33」、「12」と変更を重ね、91年には外野手にも転向となるなど変転が続いた。それでも着実に出場機会を増やして「12」3年目の96年に自己最多の28本塁打を放っている。

 95年に「39」だったのはプロ3年目で右腕の豊田清で、「38」に変更。97年に初の2ケタ10勝を挙げて「20」に変更となり、99年にも10勝、21世紀に入ってクローザーに転じ、2002年から2年連続で最優秀救援投手に輝いている。

投手と捕手の系譜


04年には112試合に出場して打率.307、14本塁打、75打点をマークした貝塚


 もともと西武の「39」は捕手が多い系譜で、これは他のチームと同じ傾向。その後の「39」は内野手の前原博之、右腕の渡辺智男、左腕の富岡久貴ら移籍あるいは復帰してきた選手が短期間でリレーし、2000年に後継者となった貝塚政秀から捕手の系譜に戻った。貝塚も外野手に転向して04年にブレーク。引退までの9年間、一貫して「39」を背負い続けた。09年に継承した岳野竜也も捕手だが、芽が出ないまま引退。14年にロッテから移籍してきた中郷大樹で投手の背番号となり、その引退で継承したのが呉だ。

 垣内の前にさかのぼっていくと、白幡勝弘(隆宗)、黒田正宏と捕手が並ぶ。西武の初代は外野手の慶元秀章だが、“九州ライオンズ”の最後は捕手の若菜嘉晴。アメリカへの野球留学から帰国して3年目の74年に「39」となり、チームがクラウンとなった77年にブレークして、79年に移籍した阪神でも82年まで「39」を背負い続けた。さらに系譜をさかのぼり、1年の欠番を挟んで、西鉄の最後も捕手の片岡新之介。その前の伊東勇は左腕だが、やはり1年の欠番があり、66年の池永浩之、65年の松並和視、60年から64年の中峰清二と、捕手がリレーしている。

 それまでは投手の系譜。57年から3年間の山根照雄は一軍登板なし、53年から4年間の田島定は通算2試合の登板にとどまったが、52年に初代となった島原幸雄は「39」の投手では出世頭ともいえる右腕だ。テスト入団ながら1年目から15試合に登板、2年目は「22」、3年目からは「18」となり、56年には自己最多の25勝。西鉄はリーグ3連覇、3年連続で日本一と、黄金時代に突入していった。

【西武】主な背番号39の選手
島原幸雄(1952)
若菜嘉晴(1974〜78)
デストラーデ(1989〜92、95)
貝塚政秀(2000〜08)
呉念庭(2016〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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