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長嶋茂雄の偉大さが分かる!? 阪神・佐藤輝明が挑む大卒1年目のシーズン野手記録は

 


 今季のルーキーで特に注目を集めているのが阪神のドラフト1位・佐藤輝明だ。練習試合から存在感を示していた佐藤は、オープン戦でも8試合(3月15日現在)で27打数10安打、4本塁打、打率.370と他を圧倒する活躍を見せている。この調子を公式戦で発揮すれば、1年目からとんでもない記録を残す可能性もあるだろう。今回は、佐藤が塗り替えるかもしれない「大卒1年目のシーズン野手記録」をピックアップして紹介する。

すべてに高レベルの長嶋


●最多出場試合……154試合 佐々木信也(高橋/1956年)

 大卒1年目選手の最多出場記録は1956年の154試合。今季は143試合予定のため、更新は不可能だ。現在と同じ143試合になった2015年以降では、実はフル出場を果たした大卒1年目選手はおらず、2016年に阪神の高山俊が記録した134試合が最高だ。今季、佐藤はチームの先輩の記録に挑戦することになる。

●最多安打……180本 佐々木信也(高橋/1956年)

 大卒1年目の安打記録も佐々木で、ルーキーイヤーに180安打を放ち、リーグ最多安打をマークした(当時は表彰タイトルではなかった)。次に多く安打を放ったのは長嶋茂雄で、1958年に記録した153本。中日京田陽太は1年目の2017年に149安打を放っており、大卒1年目記録では佐々木、長嶋に次ぐ歴代3位となる。

 ちなみに、二塁打は長嶋の34本が最多記録だ。これは大卒1年目だけでなく高卒や社会人から入団した選手を含めてトップ。また、三塁打は南海の蔭山和夫が1950年にマークした15本がシーズン最多だ。

●最多本塁打……31本 桑田武(大洋/1959年)

 本塁打は、桑田武が記録した31本が大卒1年目の最多記録。この年は、阪神・村山実がルーキーながら沢村賞に選ばれる活躍を見せたが、新人最多本塁打記録の更新が高く評価され、桑田がセ・リーグ新人王となった。大卒1年目で桑田に次ぐ数字を残したのが1958年の長嶋で、29本塁打。ベース踏み忘れで1本取り消しになっており、もしこのミスがなければ新人によるトリプルスリーもあり得た。

巨人・長嶋茂雄


●最多打点……92打点 長嶋茂雄(巨人/1958年)

 最多打点は社会人を含めると戸倉勝城の96打点が最高だが、大卒1年目では長嶋の92打点が歴代最多だ。現役選手では、阪神の高山が2016年にマークした65打点が最高となるが、佐藤はひとまずこの数字が目標となるだろう。

●最多得点……89得点 長嶋茂雄(巨人/1958年)

 最多得点も社会人を含めると戸倉勝城の90得点が歴代では最高記録だが、大卒1年目では長嶋がトップ。最近だと、2017年に中日の京田が67得点をマークしているが、長嶋との差は大きかった。

●最多塁打……290 長嶋茂雄(巨人/1958年)

 塁打記録も長嶋がトップ。歴代2位が最多出場試合と最多安打の佐々木、最多本塁打の桑田が記録した236塁打なので、長嶋とは54塁打も差がある。それだけ1年目の長嶋のバッティングは傑出していたのだ。


●最高打率…….314 広岡達朗(巨人/1954年)

 広岡が1年目に記録した打率.314が、大卒1年目選手のシーズン最高打率だ。広岡といえば高い守備力が特徴だったが、1年目はリーグ6位の打率をマークするなど打撃でも期待される存在だった。しかし、2年目以降は伸び悩み、目立った打撃記録は残せなかった。

●最多三振 111個 有藤通世(ロッテ/1969年)、村田修一(横浜/2003年)

 1年目での歴代最多は、1999年に中日の福留孝介が記録した121三振だが、大卒選手では有藤と村田の111三振がトップ。佐藤は現在のところミート力も高く、三振は量産しそうにないイメージだが、果たして開幕してどうなるか注目だ。

●最多盗塁 ……37個 長嶋茂雄(巨人/1958年)

 盗塁は長嶋が記録した37個が大卒1年目では最多の数字だ。長嶋は打撃だけでなく走塁、リーグトップの捕殺を記録した守備と、まさにオールマイティーな活躍を見せた。何か一つの部門だけ傑出というのはよくあるが、すべての分野で高いレベルのプレーを披露したのは現在のところ長嶋ただ一人だ。

 今季、佐藤が挑むことになる「大卒1年目のシーズン野手記録」を紹介した。佐藤はスラッガータイプなので、最多本塁打や最多打点が目標となるだろう。ただ、面で打つ大崩れしそうにないバッティングのため、打率も好結果を残す可能性がある。オープン戦の調子を維持したまま開幕を迎えられるか、今後のプレーに注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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