開幕まで残り10日と迫り、各球団の開幕一軍の顔ぶれが徐々に見えてきた。先発5本柱という圧倒的な先発投手陣を誇る
楽天は、開幕投手を務める
涌井秀章、
田中将大、
早川隆久、
岸孝之、
則本昂大と開幕先発ローテーションがほぼ確定している。激戦区となっていた6番手だが、
塩見貴洋と
石橋良太は状態が上がらず実戦登板なし。
辛島航も上半身のコンディション不良で一軍を離脱したため、2年目の
瀧中瞭太が務めることになりそうだ。
だが、注目したいのは開幕後にもこの6番手を狙う若手だ。この6投手がフルシーズン先発ローテーションを守れれば問題はない。しかし、必ず調子を落とす時期や疲労がたまる夏場に休ませる時期が来るだろう。その際、代わりに先発枠に入ってくるのが誰なのかは気になるところだ。ドラフト2位ルーキーの
高田孝一も中継ぎとして起用されているが、先発をこなせる能力は十分。同様に5年目の
西口直人もその筆頭候補だ。
西口は2017年に甲賀健康医療専門学校からドラフト10位で入団。18年9月30日の初登板(対
オリックス=楽天生命パーク)では8回途中2失点の好投を披露した。ケガもあり一軍登板はその試合のみだが、昨季は二軍で14試合に登板(7先発)し、ファーム日本選手権では先発を務め、球団初のファーム日本一にも貢献。首脳陣も期待する投手へと成長を遂げている。今季のオープン戦登板は3月10日の1試合のみ(3月15日現在)で、先発した則本が右ヒザ付近に打球を受けて一死満塁から登板。緊急登板だったということもあり、押し出し四球、中前適時打などで3走者をかえされアピールとはならなかったが、チャンスは再び訪れるだろう。
田中将の復帰と豪華な先発投手陣によって見逃されがちだが、
森原康平が不調で二軍降格となったことも影響し、中継ぎ陣が固まっていない楽天。だからこそ、若手にもチャンスが回ってくる可能性は高い。誰がそのチャンスをつかむのかは今シーズンの楽しみの一つだ。ロングリリーフもこなせる西口は中継ぎでも重宝されそうだが、開幕後の状況によっては先発として投げる機会もあるだろう。ケガに悩まされ二軍生活は長いが、それだけにあらゆる状況やさまざまなコンディションでの登板経験も多く積んできた。17年のドラフトでは支配下最遅の指名だった右腕が開花するシーズンとなるか。意地が見たいところだ。
文=阿部ちはる 写真=BBM