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背番号物語

【背番号物語】中日「#22」大野雄大の背番号は由緒ある捕手ナンバー。最長は捕手から転じて竜で186発の長距離砲

 

いち早く中日で登場した捕手の「22」


現在、中日で背番号「22」を着けるエース・大野


 2020年は防御率1.82、148奪三振で最優秀防御率、最多奪三振の投手2冠、沢村賞にも輝いた左腕の大野雄大がプロ1年目の11年から一貫して背負い続けている中日の「22」。古くから中日では「20」がエースナンバーとされ、球史に残る右腕がリレーしてきた。一方、左のエースナンバーとされるのが「21」だが、左腕の大野は「22」を背負い続けている。

 近年……といっても時代が平成になったくらいからだが、横浜(現在のDeNA)の佐々木主浩がインパクトを残してからは、一般的に「22」はリリーバーの印象が強くなっている。それ以前は捕手ナンバー、それも正捕手の背番号だった。これは昭和の昔、阪神田淵幸一が着けてから強くなった傾向といわれるが、それよりも昔、いち早く捕手の「22」を登場させたのが中日だった。戦中の1942年、「22」の3代目となったのが藤原鉄之助だ。闘志を前面に押し出したファイターで、2年目の43年には全試合に出場、戦後は「9」に変更したが、のちに移籍した急映(現在の日本ハム)、巨人でも正捕手を務めるなど、プロ野球の捕手でパイオニアといえる存在だった。

 一方、中日の「22」では木下政文上林繁次郎杉山哲夫と捕手が続いたものの短期間リレー。その後も安定感を欠く。定着したのは53年、プロ2年目の河合保彦が継承してから。河合は「34」からの変更で、翌54年は68試合の出場ながら、西鉄(現在の西武)との日本シリーズでは全7試合に出場して初の日本一を支えると、翌55年には正捕手に。57年に「6」となるまでの4年間、「22」でプレーした。

 54年を最後に優勝から遠ざかった中日だが、「22」も河合の後は捕手とは無縁の系譜になる。ふたたび捕手が着けたのは巨人のV10を阻んで2年後となる76年で、80年までの5年間「22」を着けたのが、選手としては一軍出場なく引退したが、指導者として長く中日を支えることになる福田功だった。

山崎は中日で16年間、「22」を背負った


 そして87年、地元の愛知県からドラフト2位で入団した捕手が「22」を背負う。山崎武司だ。その後は外野手に転向したものの、背番号は変わらず。ようやくレギュラーに定着したのは10年目の96年だったが、いきなり39本塁打を放って本塁打王に輝いた。山崎は田淵、佐々木と並んでプロ野球で最長の16年間「22」を背負い続けて、2003年にオリックスへ。楽天を経て12年に復帰してからは「7」でプレーしている。

 山崎は「22」の系譜で独特な物語を紡いだが、これは山崎だけの物語だったことも確かだ。一方、中日の「22」には投手の“出世ナンバー”という横顔もあった。

「20」を輩出したこともあったが……


69、70年の2年、背番号は「22」だった星野


 プロ野球が始まった1936年から参加している中日。1年目は欠番で、翌37年の春季リーグ戦が開幕してから移籍してきて初代となった遠藤忠二郎は投手のほか一塁手も務めた“二刀流”の選手の選手だった。遠藤は1年で移籍。2年の欠番を挟んで40年に2代目となった岡本敏男は大野と同じ左腕だった。河合の後に川崎啓之介会田豊彦と野手が3年ずつリレーして、63年の岩瀬光時から投手の系譜に戻ると、翌64年には中日でプロに復帰した右腕の小川健太郎が着けて、その翌65年に「13」でブレーク。パ・リーグから来た左腕の牧田政彦と右腕の久保征弘が2年ずつでリレーして、69年に後継者となったのがドラフト1位で入団した星野仙一だ。

 即戦力となった星野は71年には「20」を継承。74年にリーグ優勝の立役者となり、82年のリーグ優勝を見届けて引退、のちに指導者として福田とタッグを組むことになる。一方、「22」で星野の後継者となったのが右腕の渡部司で、福田を挟んで巨人のドラフトを拒否したことでも名を残す曽田康二が背負い、山崎へリレー。山崎の後はアレックスが1年だけ着けて、捕手の柳沢裕一が2年、外野手の藤井淳志が現在の「4」に変更するまでの2年、捕手の田中大輔が3年と、捕手の系譜に戻りかける。こうした流れを一変させたのが大野だった。

 大野は2013年から3年連続2ケタ勝利と“出世”しても背番号を変えず。「20」は17年を最後に途切れているが、「22」には新しい物語が始まっているようだ。

【中日】主な背番号22の選手
河合保彦(1953〜56)
星野仙一(1969〜70)
曽田康二(1981〜86)
山崎武司(1987〜2002)
大野雄大(2011〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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