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センバツ2021

アルプス席の応援形態も「新様式」 センバツ甲子園に戻ってきた「ブラバン応援」/センバツ2021

 

出場校に3つの選択肢


応援の音源が流れるスピーカーは球場全体ではなく、アルプス席に設置してある一塁、三塁の各5台限定だった


 高校野球とアルプス応援は運命共同体である。

 センバツ高校野球が3月19日に開幕した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年の大会は中止。2年ぶりの開催で、アルプス席の応援形態も「新様式」となった。

 感染症対策の観点からブラスバンドによる「生演奏」は禁止されたが、あらかじめ用意した音源を利用しての応援が展開。出場校には3つの選択肢が与えられた。

(1)出場校が自校ブラスバンド部員の演奏をCDに録音した音源を使用
(2)主催者が市立尼崎高校吹奏楽部の協力を得て録音したCDを音源として使用
(3)ブラスバンドの音源を使用せず、手拍子のみの応援

 実際には(3)を選択した学校はなく、音源指定については「打順ごとに曲を指定する」「イニングに曲を指定する」の2つを選ぶことができた。

 北海高と神戸国際大付高による開幕試合。北海高は「決定が大会直前であり、学校で準備することはできませんでした」(同校応援団責任者)と語り、主催者が用意した打順ごとの曲が流れた。『ルパン三世』や『キャッツアイ』などの定番曲に合わせて、メガホンと太鼓のみの応援。声を発することは禁じられた。

 一方、神戸国際大付高は自校ブラスバンドが音源を準備した。「3月9日に決定の知らせを受け、手拍子と声援を入れるかどうか? となったんですが、最終的に大会本部の指示により、楽器のみに決まったのが12日でした」(吹奏楽部・大和慎吾顧問)。13日に録音して、締め切りの15日までに大会本部へ送付するというバタバタぶりであった。

 収録できるのは上限10曲だが、実際に用意したのは7曲。奇数打順は個人のテーマ曲で、偶数打順は太鼓と手拍子、そして、一塁出塁時と二塁進塁時はチャンスパターンと使い分けた。控え部員による太鼓部隊は4人で結成。1日3時間の猛練習で本番に備えたという。

 試合が始まってみると、ネット裏までは、音源があまり届いてこなかった。スピーカーは球場全体ではなく、アルプス席に設置してある一塁、三塁の各5台限定だった。

「吹奏楽部としても、応援のために練習に励んできた部分もある。こうした機会をいただき、感謝しています」(大和顧問)

 春はセンバツから――。甲子園にも制限下ではあるが「ブラバン応援」が戻ってきた。

文=岡本朋祐 写真=宮原和也
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