週刊ベースボールONLINE

センバツ2021

「感謝」「感動」「希望」2年ぶりの開催へ新たな決意がこもった選手宣誓/センバツ2021

 

大会開催への気持ち


3月19日の開会式には、大会初日に登場する6校が参加。仙台育英高・島貫丞主将が選手宣誓を行った


 球児が持つ力。甲子園で開催される高校野球は、日本全国に多大な影響を与えている。3月19日のセンバツ開会式における3人のあいさつには、2年ぶりの大会開催への気持ちがこもっていた。

 昨年の大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、中止となった。第二次世界大戦中の「中断」(1942〜46年)を除いては初。95年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災の際にも、多くの関係者の尽力によって歴史をつないできた背景がある。

「未曾有の国難にあって、センバツ大会に出場した高校球児が全力に、懸命にプレーした姿が、復興に向けて再び立ち上がる人々に、勇気と希望を与えてくれました」

 萩生田光一文部科学大臣はこう述べた上で、今大会に関しても「我が国がコロナウイルスを乗り越える希望の光となる。素晴らしい大会になることを信じています」と、選手たちの全力プレーに期待した。

 大会主催者の毎日新聞社・丸山昌宏社長は「大会運営にかかわるすべての皆さんへの感謝を忘れずに、この甲子園という最高の舞台で、苦難を乗り越えで一回り大きくなった皆さんの姿を存分に見せてください」と語った。

 また、日本高野連・八田英二会長は、励ましの言葉の冒頭で「高校野球の聖地、阪神甲子園球場に球児が戻ってまいりました。昨年は大会中止という痛恨の出来事がありました。今、グラウンドに整列した皆さんの元気な姿を見ると感慨ひとしおで、万感胸に迫るものがあります。全国の高校野球ファンの気持ちも同じだと思います」と声のトーンを上げて話した。

 さらに、八田会長は「自らの限界に挑戦して、目標に向かってひたむきに歩んできたことに深く敬意を表します。夢を追い続ける同世代の若者の代表であり、私たちの誇りです。青春の1ページを飾る貴重な思い出を母校、故郷に持ち帰ってください」と語った。

 とはいえ、新型コロナウイルスが終息したわけではない。萩生田大臣はこう指摘した。

「今もなお、このときも、コロナ禍の最前線で治療に当たってくださっている医療従事者がいることを忘れてはなりません」

大会初日から好ゲーム


 3人のメッセージを受けて、開会セレモニーの最後は、仙台育英高・島貫丞(3年)が選手宣誓で決意を新たにした。

「感謝。ありがとうございます。これは出場校すべての選手、全国の高校球児の思いです。
感動。喜びを分かち合える仲間とともに、甲子園で野球ができることに感動しています。
希望。失った過去を未来に求めて希望を語り、実現する世の中に」

 2011年、福島県出身の島貫は東日本大震災で被災している。

「この3月で東日本大震災から10年となりました。日本、世界中に多くの協力や支援をいただき、仲間に支えられながら困難を乗り越え、10年前、あの日見た光景から想像できないほど希望の未来、復興が進んでいます。これからの10年、私たちが新しい希望の力になれるように、歩み続けます」

 いよいよ始まった、春のセンバツ。丸山社長はあいさつの結びで「皆さんで力を合わせて、素晴らしい大会にしていきましょう!!」と訴えた。

 開幕試合は神戸国際大付高(兵庫)が延長10回サヨナラ勝ちで北海高(北海道)を破った(3対2)。第2試合は仙台育英高(宮城)が明徳義塾高(高知)を1対0で振り切り、昨秋の地区大会優勝校対決を制した。

 大会初日から手に汗握る好ゲーム。決勝まで31試合、見逃せないカードが続く。そして、高校球児が全国にパワーを発信する。

文=岡本朋祐 写真=牛島寿人
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング