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センバツ2021

「練習場に常にいる」同僚が明かす天理・達孝太が聖地で結果を出せた2つの理由/センバツ2021

 

スカウトは「楽しみな存在」


天理高・達孝太は宮崎商高との1回戦を被安打6、10奪三振で1失点完投した


 天理高の193センチ右腕・達孝太(3年)が宮崎商高との1回戦(3月20日)で1失点完投勝利。エースとして6年ぶりのセンバツ勝利(7対1)へ導いた。

 昨年8月の甲子園交流試合(対広島新庄高)では、救援で1イニング、打者3人(右飛、見逃し三振、空振り三振)を封じる圧巻の甲子園デビュー。聖地のマウンドを踏み締めて「全国優勝」への思いが高まったという。新チームでは主戦となり、近畿大会8強。背番号1を着け、2度目の大舞台で成長した姿を見せつけた。

 自己最速タイの146キロに、スライダー、フォークと変化球のキレ味も抜群だった。

 エンゼルス・大谷翔平のフォームを参考にしてきた逸材がなぜ、結果を出せたのか。アルプス席で見守る同級生が明かす、2つの理由があった。

 まずは、誰にも負けない練習量だ。

「室内練習場が寮に隣接しているんですが、達は常にここにいるイメージです。鏡を使っての投球フォーム確認、インナー系のトレーニングをこなしています。消灯時間は22時30分か23時に設定されていますが、時間の使い方がうまい。投手キャプテンとして、自覚が増しています」(伊藤光翼外野手)

 技術的には、球質の向上である。

「大会前に実戦形式の練習で対戦しましたが、ストレートの角度があり、ストレート、フォークにもボールに重たさがある。自分の中ではとらえたつもりでも、差し込まれるんです。言葉で引っ張るよりも、背中で見せるタイプ。試合実績でけん引する投手キャプテンです」(杉本翔外野手)

 決して言葉数が多いほうではないが、チームメートの期待にきっちり応える。達は黙々とエースの仕事をまっとうしたのである。

 193センチ88キロ。1回戦の球数は161球が示すように、細かい制球力を含めて、改善の余地はまだある。とはいえ、逸材であることは間違いない。あるNPBスカウト幹部は「ポテンシャルを秘めている。どこまで伸びていくのか、こちらも想像がつかない。楽しみな存在です」と期待を寄せる。

 2回戦以降の投球からも目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳
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