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センバツ2021

天理の『ワッショイ!』『ファンファーレ』生演奏でなくても“魔曲”だった!/センバツ2021

 

ビッグイニングを後押し


天理高の応援は甲子園名物。同校オリジナルの『ワッショイ!』と『ファンファーレ』が今春、アルプス席のスピーカーから流れた


 生演奏でもなくても、やはり、魔曲だった。

 天理高は宮崎商高との1回戦で2回に2点を先制も、3回以降は追加点を奪えずにいた。主導権を握るためにも、次の1点が欲しい。試合が動いたのは7回表だった。

 二死一、三塁。天理高はこの試合、初めて複数の走者を置いた。打者・達孝太(3年)の途中(二、三塁)で三塁アルプス席から流れてきたのは、伝統のチャンステーマ曲『ワッショイ!』である。達は四球を選んで二死満塁。ここで九番・政所蒼太(3年)が左前へ2点適時打。さらに主将の一番・内山陽斗(3年)の右越え二塁打で2点を追加した。応援曲による後押しが影響したビッグイニング。天理高は7対1で快勝し、6年ぶりのセンバツ勝利を挙げた。

 今大会、コロナ禍による感染予防対策の観点からブラバン応援は行われない。有観客試合における代わりの応援方法として、希望した出場校は事前に録音した音源を大会本部へ提出。甲子園球場の協力により、攻撃中、各校からの曲順などの要望に応じ、アルプス席上段にあるスピーカーから応援曲が流れてくる。

「アルプス席から演奏することはできませんが、録音した音源を通じて、グラウンドでプレーする選手たちへ、応援が届いてくれたらうれしいです」

 吹奏楽部67人を代表して3年生の速水ひとみさん(クラリネット)、耳塚朋香さん(サクソフォン)、山崎かほりさん(パーカッション)は声をそろえて、感謝の言葉を口にした。

 提出できるのは上限10曲。天理高には『ワッショイ!』だけでなく、もう一つのオリジナル曲『ファンファーレ』がある。オペレーションには「ヒットで出塁時に流す」『ファンファーレ1』に、「得点時に流す」『ファンファーレ2』(2回繰り返し)を指定。1、7、8回の得点時は、プロ野球応援でもおなじみの『ファンファーレ2』が甲子園にこだました。

 攻撃時、吹奏楽部の部員たちが、スクールカラーの紫のメガホンをリズミカルにたたくのも印象的だった。今回は短い準備期間ではあったが、計4日、時間が許す限り、納得がいくまで録音した。自らが演奏した曲をアルプス席で聞く機会は初めてだっただけに、山崎さんは「新鮮です」と語り、こう続けた。

「伝統の『ワッショイ!』と『ファンファーレ』は天理高校の宝物です!!」

 実は吹奏楽部が野球部のために録音するのは、今年2回目だという。2月、甲子園を想定した練習をするため『ワッショイ!』を含め、5曲の音源提供の依頼があったという。コロナ禍による「新様式」で戻ってきた、甲子園名物応援曲。今回の天理高の初戦突破は、学校全体で手にした白星であったのだ。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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