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1970年代にもあったセ、パの差の理由は?/週べ回顧1972年編

 

 3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

佐々木信也は言う「パの投手は優し過ぎる?




 今回は『1972年8月28日号』。定価は100円。
  
 連載「野球博士入門」で、「セ、パの野球がなぜ違うのか」という質問に野球評論家・佐々木信也氏が答えている。
 前年の1971年、セの3割打者が1人に対し、パは12人いた。
 今とはもちろん状況は違うし、やや強引なところもあるが、今に続く源流ということでは「なるほど」と思う個所もある。
 要約していく。

 1つはグラウンドの広さ。当時、東京スタジアムを筆頭に、パの球場はセに比べて狭く、左中間、右中間のふくらみが少ない傾向にあった。
 佐々木は言う。
「あのグラウンドでバント作戦が無意味なのはすぐ分かります。ですからパの野球は好球必打、どのバッターも見事なほど思い切りのいいスイングをします。当てただけの打球より、フルスイングのほうが打球が速く、ヒットになりやすいのは当然のことです」
 
 あとは西鉄ライオンズの成功体験もある。機動力野球の南海では歯が立たなかった巨人を1956年から3年連続で西鉄が破り、日本一になったことだ。
 当時は実力、人気とも巨人の一強時代。パは巨人を破ることで全国にアピールしようとしていた、という前提からの説だ。阪急や野村南海は、むしろ緻密な野球を目指していたから正解とは言えない気がするが、パと言えば西鉄の野武士軍団を思い浮かべた人は、当時まだ多かっただろう。
 また、佐々木の言葉。
「パの各球団がグラウンドが狭いことと同時に、巨人を倒せる強打のチームをつくろうとしている。これははっきり言えます」
 さらにパの試合について、「試合運びは荒っぽいし、ヒットエンドランや右方向への進塁打がなく、強引にたたき、引っ掛けての併殺もよくある」とも言っている。

 以下はセがなぜ細かい野球になったか、という話だ。
「セ・リーグのピッチャーは巨人のキメの細かいバッティングに対抗するために、変化球が多く、コーナーをていねいに狙うピッチングをする。正面からまともに攻めてこないために、バッターは手こずるわけです。
 そして、どこか1つでもウィークポイントがあるとセのピッチャーはしつこくそこを攻めます。それはもう残酷なやり方で徹底的にやります。
 その点、パのピッチャーは人がいいのでしょうか。比較的あっさり型の男が多い。そして大胆にぽんぽんストライクを取ってきます。グラウンドが小さくて、ホームランを打たれる確率が高いのだから、それだけキメの細かいピッチングになりそうなものですが、そこが違うんです。
 取られたら取り返す。ゲームそのものが男性的になるわけです」

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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