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「不安をなくす」オリックス・平野佳寿の10年前の、ある経験

 

4年ぶりのNPB&オリックス復帰となる平野佳寿がオープン戦5試合の登板を経て開幕を迎える


 オリックス入団が発表されたのは2月6日のこと。すでにキャンプインしていたチームへの合流は、10日の入団会見の翌11日で、12日には早速ブルペン入り。メジャーから日本球界復帰を決め、イレギュラーな2月を過ごした平野佳寿だったが、順調に調整を続け、オープン戦5試合の登板を経て開幕へと向かっている。

 だが、すべては想定内だ。

「1月中旬ごろから気持ちはアメリカと日本、半分半分で。正直、2月に入った時点でメジャーへの思いは完全になくなっていた。だから、キャンプにはすんなり入っていけるようにしようと、調整は続けてたんです」

 そもそもオフの間も体を動かすことは欠かさない。毎年、正月に京都での自主トレで“初投げ”と、メジャーに行っても過ごし方は大きな違いはなかった。

 休むのも勇気──。そんな言葉もあるが、苦い思い出がそうさせない。岸田護投手コーチが、現役を引退した2019年のオフ、「これはアカン! もうやったらダメや。そう思った」と笑いながら明かした、こんな話がある。

「2010年の秋季練習が終わった10月頭だったと思います。当時の岡田(岡田彰布)監督から『明日からフリーや。2月1日に合わせろ』と言われて。そこから翌年のキャンプまで全フリー。平野と2人で『とりあえず体を休めておこう』とホントに何もせず、1月の自主トレから投げ始めたんですよ。だから、キャンプ中盤まで『肩痛い!』と言いながら平野と2人でヒーヒー言っていた(笑)。これはアカン、体が危ないと思いましたし、オフのトレーニングの大事さを痛感しましたね」

 10年シーズンの登板数は岸田が57、平野が63。登板過多の疲労を取るための岡田監督の言葉だったが、休み過ぎも良くないと体感した。平野も当然、覚えている。

「ありました、ありました(笑)。でも、おかげでトレーニングの大事さが分かったし、投げないことで不安になるようになったんです」

 11年シーズンは岸田が68試合に登板し、平野も72試合でマウンドに上がるなど、故障することはなかったが、分かったことが1つある。37歳になった平野が振り返る。

「休む休まないもそうですけど、大事なのは不安なくやることなんだな、と。休んで良かった点もあるとは思うんです。でも、なんで同じようなオフを過ごさないのかは『不安になるから』。投げることで不安になるなら、投げないし、投げずに不安になるなら、投げる。体も大事だけど、心も大事。そのバランスだと思うんです」
 
 心身ともに円熟味を迎えるベテラン右腕。今年も欠かさずトレーニングを積んできたのは、「1試合でも多く試合で投げる」目標のためにほかならない。

 不安をなくマウンドへ。入団からわずか1カ月半で迎える4年ぶりの日本での開幕も問題はない。

写真=BBM
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