週刊ベースボールONLINE

センバツ2021

大舞台でも動じない東海大相模の強さ。鳥取城北との2回戦は「入り」に注目/センバツ2021

 

あらためて教訓となった試合


東海大相模は東海大甲府との1回戦を突破(写真)。3年ぶりのベスト8進出をかけた2回戦(3月26日、第1試合)は、鳥取城北と対戦する


 東海大相模の野球とは何か?

 伝統の「アグレッシブ・ベースボール」である。積極的な攻撃はもちろんのこと、守備でも攻め続ける。つまり、引くことは許されず、気持ちを前面に押し出していくスタイルだ。

 あらためて、教訓となる試合があった。

 智弁学園(奈良)と大阪桐蔭の1回戦(3月23日)。東海大相模はすでに初戦突破(20日、対東海大甲府)を遂げており、鳥取城北との2回戦を控えた調整中だった。東海大相模・門馬敬治監督は「自分のチームの練習が大事ですので」と、グラウンドに目を向けていたが、試合結果を見て感じたことがあった。

「先制の4点(智弁学園が1回裏に主導権を握り、8対6で逃げ切る)ですね。出だしをしっかり抑える大事さ。当たり前を、当たり前にできるか? 準備の大切さを学びました。本来の力を、甲子園で出せるか?」

 主将で遊撃手の大塚瑠晏(3年)は昨年8月、大阪桐蔭と甲子園交流試合で戦っている(2対4で逆転負け)。強豪校の「圧」を知るだけに、試合の流れを左右するポイントを熟知している。智弁学園が実践した「先制攻撃」と言えば、東海大相模が得意とするパターンだ。

 45年ぶり2度目の全国制覇を遂げた2015年夏。東海大相模は5試合中4試合で初回に得点している。試合の「入り」に、全神経を研ぎ澄ましているからだ。この伝統は引き継がれ、4強に進出した18年春も勝利した3試合中2試合で初回に先制している。しかも、ビッグイニングをつくるケースが多い。

 主将の大塚が「相模は『初回』と言われる。初回を意識していきたい」と決意を語れば、一番打者の門馬功(3年、門馬監督の次男)も「相模の初回の攻め。アグレッシブにいきたい」と、相手投手の立ち上がりを攻め立てることを誓った。

 言葉は熱いが、心は冷静である。

 大阪に入って以降は当然、外出禁止。新型コロナウイルスの感染対策を徹底しており、外部との接触は極力、避けている。チームの行動は宿舎とグラウンドの往復のみであるが、平常心を保っている。門馬監督は言う。

「自分たちのグラウンド、そして、こちらに来て以降も、割り当てられた練習場が、甲子園という意識で全力プレーを続けてきました。ここ(甲子園)で何かをするのでは、遅すぎるわけです。ウチには、特別はない。普段からやっている練習の精度を高める。未熟な選手たちが成長できる1日、と日々を受け止めて取り組んでいます」

 指揮官の思いは、選手たちにも届いている。今センバツからマスクをかぶる捕手・小島大河(3年)は言う。

「甲子園が特別ということではなくて、普段どおり、いつもどおりです」

 これが、大舞台でも動じない東海大相模の強さだ。3月26日、3年ぶりのベスト8進出をかけた鳥取城北との2回戦は「入り」に要注目である。

文=岡本朋祐 写真=牛島寿人
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング