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「間に合うかどうか分からない」から、4年連続7度目の開幕戦マウンドに立つ巨人・菅野智之への期待

 

開幕前最後の登板となった3月19日のロッテ戦で、3回1安打無四球無失点。3つの三振を奪うなど、万全の仕上がりを見せた巨人菅野智之


 良い意味で、力が抜けている。巨人の開幕投手を任される菅野智之のことだ。

 開幕戦の先発マウンドは、4年連続7度目。これまで4勝を挙げており、明日の試合で勝利投手となれば、並んでいた別所毅彦斎藤雅樹を抜き、球団の開幕戦最多勝利投手に躍り出る。昨年は開幕から13連勝でNPB記録を更新しており、「偉大な先輩たちの記録に挑戦できる機会は、ほとんどありません。しかも、開幕は年に1度だけ。勝ってジャイアンツの歴史に名前を刻めたらいいですね」と笑顔をみせる。

 常々、「開幕戦は143分の1ではない特別な試合」としてきた。しかし、ここ数年スタンスに変化があると言う。「あまり、入れ込んで、張り切り過ぎても(良くない)、と年々思うようになってきました。もちろん、チームとして大事なスタート。だからこそ、普段どおりのピッチングをすればいいな、と思っています」。

 そもそも、今季は「3月26日に間に合うかどうか」の心配もあった。オフにメジャー移籍を模索。交渉のため1月1日には渡米し、最終的に残留を決め、9日の帰国の後は2週間の自宅隔離を経験した。この間、ほとんど練習はできておらず、例年とは異なる状態でキャンプを迎えている。

 菅野は自らの状態を首脳陣に正直に打ち明け、「今年は開幕に間に合うかどうか分かりません。良い状態で調整が進めば行かせてください」と伝えている。開幕に照準を合わせれば、焦りが生まれ、どこかに無理が出る。故障などのリスクを回避したいと考えるのは当然だろう。

 ただ、そこはキャリア豊富なエースだ。「決して急いだわけではなかった」が、「その環境に身を置くと、自然とスイッチが入って心も体もしっかりと出来上がりました」と無理をせずとも仕上げてくるのだから、恐れ入る。原辰徳監督から「今年も開幕、お願いします」と伝えられたのは、2月28日の春季キャンプ最終日。この時点で対外試合1試合に投げており、調整は順調そのものだった。

 その後も自分のペースを崩さず、プレシーズンは4試合13イニング無失点と万全。「間に合うかどうか分からない」スタートから、たどり着いた開幕の舞台。果たして菅野はどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。

文=坂本匠 写真=BBM
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