福岡ソフトバンクホークス
【打線の爆発】
昨季12球団唯一の防御率2点台(2.92)を誇った投手陣。しかし今季、開幕にあたっては先発の柱となるエース・
千賀滉大、
東浜巨、不動のセットアッパーであるL.
モイネロも不在だ。幸い復帰までにそれほど時間は掛からない様子だが、連覇に向けていいスタートを切るためには「みんなで心を一つに」(
工藤公康監督)することが求められる。特に、投手陣を助けるべく、奮起すべきは打撃陣。オープン戦はチーム打率.219と不安が残った。それでも、主砲・柳田悠岐を中心に、Y.
グラシアル、A.
デスパイネのキューバコンビも加わり、布陣はベストメンバーだ。持ち前の爆発力で投手陣を援護し、連覇まで突き進む。
千葉ロッテマリーンズ
【不動の四番の誕生】
福田秀平、
井上晴哉、
レアードが開幕メンバーから漏れる一方で、
井口資仁監督は、安田尚憲の開幕・四番起用を明言。オープン戦では高卒3年目の
山口航輝が四番に座り続けるなど、高卒3年目の
藤原恭大ら、若手が芽を出し世代交代の着々と進んでいる。そんな面々が確たる主軸へと成長できるか。中でもやはり、打線の軸となる存在の誕生が求められる。昨季のチーム打率は12球団ワーストで、春季キャンプからは
松中信彦臨時コーチを招へいするなど、打撃向上を期して挑む新シーズン。不動の四番誕生は、今季の戦いだけでなく、チームの未来も左右する。
埼玉西武ライオンズ
【先発陣の奮起】
昨季、3年連続優勝を逃した大きな原因として、やはり先発陣が苦しんだことが挙げられる。先発陣のチーム防御率4.87はリーグワースト。クオリティースタートも40試合、平均投球回5.1もリーグ最少とイニングを稼げずに
西口文也投手コーチも「安心して球数を投げさせられる投手が少ない」と嘆いた。先発陣の改善なくしてVは見えない。今季はコロナ禍のため先発として期待される
ザック・ニール、
マット・ダーモディが未来日。開幕からは
高橋光成、
浜屋将太、
平井克典、
松本航、今井達也、
上間永遠で先発陣を形成するが、一抹の不安は残る。打線、リリーフ陣でカバーしながら、若き先発陣の成長を促すしかない。
東北楽天ゴールデンイーグルス
【リリーフ陣の再建】
先発陣は実績のある4本柱に加え、若い
瀧中瞭太、ドラフト1位の
早川隆久も加わり、層が厚い。故障車が出なければ大崩れはなさそう。チームにおける最大の課題は、救援陣の再建となる。昨季、先発に再転向した松井裕樹が、今季は開幕から本来の救援を務める。そしてセットアッパーにはアンダースローの
牧田和久と
ブセニッツ。この3人がブルペンの中心的役割を担う。ただし、登板過多で失速した昨季の反省点を忘れてはいけない。ロングリリーフも期待される
高田萌生、左サイドハンドに転向した
渡辺佑樹ら若手の台頭も欠かせない。開幕一軍こそ逃したが、新人の
高田孝一、
内間拓馬と速球派も控えており、総力戦でシーズンを戦っていく。
北海道日本ハムファイターズ
【先発ローテの確立】
投手陣全体の再構築が課題だが、先発ローテーションの確立は最大のカギとなる。まずは新エース・上沢直之がシーズン通して先発の柱となり、
有原航平の抜けた穴を埋める働きをすることが大前提。次に上沢以外の先発枠を早めに確立できるか。先発起用を想定していた外国人投手が開幕に間に合わず、オープン戦では若手の台頭も乏しかった。楽天から新加入の
池田隆英とドラ1・
伊藤大海の新戦力が結果を残し先発ローテの一角として計算できそうだが、残る枠は状況を見ながら見極めることになるだろう。今季は延長戦のない9イニング制。
栗山英樹監督は「早め早めに勝負する」と早期の継投を示唆するも、序盤で先発陣が試合をつくれるかがポイントだ。
オリックス・バファローズ
【攻撃パターンの確立】
先発陣は開幕投手を務める
山本由伸を筆頭にコマがそろい、救援陣も
能見篤史、
平野佳寿の加入で厚みが増した。となれば当然、得点力アップが欠かせない。昨季も得点力不足が最下位の一因に挙げられるなど、打線の奮起は不可欠だ。昨季の首位打者・
吉田正尚にモヤ、
ジョーンズの両助っ人、さらにはT-岡田、
杉本裕太郎、未来日ながら
ロメロが復帰するなど、長打力ある面々はそろうだけに、チャンスメーカーが機能するかがポイント。オープン戦で複数オーダーを試し、佐野皓大、
太田椋が一、二番を務めることも。課題の左打席の打力が向上して俊足を生かせる佐野皓に、パンチ力もある太田が一気にチャンスを広げられるか。攻撃パターンの確立が、浮上への絶対条件だ。
写真=BBM