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センバツ2021

18勝55敗、勝率.247の「21世紀枠」だが、センバツで果たすべき役割はまだある/センバツ2021

 

5年ぶりに初戦突破したが……


具志川商(沖縄)は九州対決となった福岡大大濠との2回戦で延長11回の末に惜敗(4対8)。今大会、過去最多タイとなる4校出場した21世紀枠はすべて姿を消している


 18勝55敗。勝率.247。

 2001年から導入された「21世紀枠」の甲子園での通算成績である。

 コロナ禍による昨年の大会中止を除き、最近10大会(11〜21年)の成績を見ると、5勝32敗、勝率.135と苦戦している。

 01年の宜野座、09年の利府が1大会3勝を挙げて4強へ進出したのが最高成績で、このほか、初戦突破したチームも、1大会2勝は過去に1度もない。

 今大会、具志川商は21世紀枠として5年ぶりの初戦突破を果たしたものの、ここには注釈がつく。八戸西(青森)との1回戦は21世紀枠同士の対戦だった。そして、前回、勝利を挙げた釜石(岩手)も同枠で選出された小豆島(香川)との対戦であった。13年も21世紀枠対決で、遠軽(北海道)がいわき海星(福島)を下している。

 つまり、21世紀枠校が一般選考枠校に勝利したのは昨年を除く過去10大会で11年の城南(対報徳学園)と15年の松山東(対二松学舎大付)の2勝である。

 今回の21世紀枠は、記念大会の第85回大会以来となる、最多タイ4校の選出だった。昨年11月の明治神宮野球大会の中止(優勝校の地区に一般選考枠が1枠増)に伴う「1枠」の取り扱いについて、21世紀枠が本来の「3」から「4」となったのだ。明治神宮大会枠は、あくまでも一般選考枠の枠組みである。10地区のうちから「1枠増」という考えもあったが、不公平感が否めず、主催者側のメッセージ性を強調する形で落ち着いたのだという。

 21世紀枠は野球の実力以外が評価対象であり、困難の環境克服、地域貢献、文武両道などが選考基準。コロナ禍で創意工夫を続け、真摯に取り組む学校に光を当てることが、全国のファンに伝わると、結論に達したのだ。

 21世紀枠の存在価値。毎年、センバツ大会での結果が出るたびに取り沙汰されるが、その意義は大きい。センバツは夏のような「選手権大会」ではない。主催者の判断基準により、選出される「招待大会」だからだ。20年以上が経過し「役目を終えた」との声も聞かれるが毎年、フレッシュな学校が名を連ねる。今大会、春夏を通じ初出場だった八戸西、三島南、東播磨、具志川商とも甲子園で躍動した。

 甲子園にあと一歩届かない全国の学校に、勇気と希望を与える。毎年、球春に爽やかな風を吹かせている意味でも、21世紀枠がセンバツで果たすべき役割はまだあるはずだ。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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