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プロ野球はみだし録

クロマティ、R.ローズの大爆発 助っ人の“引退宣言”が快挙を呼ぶ?【プロ野球はみだし録】

 

ゴールを設定して集中力がアップ!?


巨人クロマティ(左)、横浜・ローズ


 この2021年もプロ野球のペナントレースが開幕した。くどいことを承知で正確に書くと、この2021年はプロ野球のペナントレースが予定どおりに開幕した、となるのかもしれない。これに関しての説明は不要だろう。試合結果はどうあれ、予定どおりの開幕だけでありがたいことであり、何が起こるか分からないのはグラウンドの上だからこそ楽しめるのだ。

 さて、ポジティブな意味で何が起こるか分からないのがプロ野球。選手の引退はシーズンオフ、早くてもペナントレースも終盤に入ってから聞こえてくる風物詩。選手たちの偉業をたたえ、惜しみながら、去りゆく背中を見送るのもプロ野球の醍醐味だ。ただ、この開幕の時期から“引退宣言”が飛び出したことも過去にはあった。これでファンのペナントレースへの向き合い方は少なからず変わってくるものだ。ファンだけではないのかもしれない。“宣言”した選手やチームの雰囲気までもが微妙に変化することで、想像を超える結果を呼び込んだこともあった。

 引退を公言して1989年のシーズンを迎えたのが巨人のクロマティ。もともとクロマティは退団する、しないの騒ぎはオフの名物のような部分もあったが、このときばかりは練習にも真剣に取り組み、チームメートにも助言を送るなど、キャラクターも変貌。“引退宣言”が本気であることをうかがわせた。そして、プロ野球で初めてシーズン規定打席に到達した時点で打率4割を超えている快挙。最終的に打率.378でシーズンを終えたが、初の首位打者、MVPに輝いている。

 その10年後の99年、同じく助っ人で、開幕してからの6月8日のことだったが、シーズン限りの引退を宣言したのが横浜(現在のDeNA)のローズ。98年は“マシンガン打線”の四番打者として38年ぶりリーグ優勝、日本一に貢献した助っ人は、ゴールを設定したことで集中力がアップしたのか、30日にはプロ野球で初めて3度目のサイクル安打を達成すると、その後も勢いを落とさず打率.369、153打点で首位打者、打点王の打撃2冠に輝いている。

 ただ、クロマティもローズも、実際に引退したのは翌年。ローズは2003年にロッテで復帰したものの、開幕を待たずキャンプ中に退団している。

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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