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広島の代打男・宮川孝雄、6打席連続安打/週べ回顧1972年編

 

 3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

高橋重行が長髪に?


広島宮川孝雄。写真年代不明だが、ユニは63年から67年までの間のもの


 今回は『1972年9月11日号』。定価は100円。

 1963年から5年連続代打打率3割を超えていた広島の宮川孝雄が、この1972年、とんでもないことになっていた。
 8月19日現在、いまだ試合でグラブを手にしたことがない代打専門ながら37打数10安打で打率.459(初出追加。当時の週べにはそう書いてあったが、計算が合わず、おそらく17安打)
 特に7月30日からはすべて代打で8打席連続出塁、8月3日から17日までは6打席連続安打と神がかっていた(ほか2四球)。
 本人に秘訣を聞くと、
「相手投手を自分のペースに引き込むこと。何より大事なのは一振り勝負という精神だね」
 投手心理や配球を読むのもうまいが、逆に投手の制球が悪かったり、捕手が若くリードの傾向が分からないと少し困る、とのこと。
「ただ、今は相手が必要以上に警戒してくるから、逆にかなり打ちやすい球が来る。助かっているよ」
 と話していた。

 前回の大洋への脅迫状も少し詳しく書いてあった。8月23日に球団事務所に届いたもので、1通が中部謙吉宛、もう1通が全重役殿になっていた。差出人は不明。便箋に落書きしたような書き方で、
「6年間ファンの期待を大裏切った。最終的な大失望ガッカリ。別当監督シーズン中、正式解任、代理、次期青田昇格。要求のない時、“殺”森社長、矢野常務」(当時の週べママ)
 とあり、その便箋の裏に1000円札が貼ってあった。
 脅迫めいた手紙はよくあったが、殺まで書き、「冗談ではない」という意思表示のつもりか札が貼ってあったことで、異例だが球団もこの手紙を公開することにしたという。

 大洋では3Aフェニックス・ジャイアンツに金銭トレードされていた高橋重行の翌年からの復帰が決まった。獲得に動いたSFジャイアンツの極東スカウト、キャピー原田に対し、中部オーナーが「メジャーで使ってもらえないなら返してください」と言っていたことも復帰の理由の1つ。
 高橋は現地で「スキヤキ・タカハシ」と声援を受け、結果も出していたが、メジャー契約までは難しいという判断だったらしい。
 本人から球団への報告の手紙の中には、
「メジャーに上がるかどうかの首脳会議で、ひとり日本人嫌いの人がいて、強硬に反対されたんだとあとで知りました」
 とあった。70年代最初とあれば、まだまだ差別はあっただろう。
 ナインがびっくりしたのが、同封されていた現地の新聞の切り抜きだ。高橋の活躍が紹介されていたものだが、なんと高橋の髪が帽子からはみだし、肩まで届いていた。
「日本みたいな丸刈り、スポーツ刈りなんてほとんどいません。長髪でないともてないので」
 とのことである。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM
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