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センバツ2021

準々決勝で聖地初本塁打。東海大相模・門馬監督が次男・功を一番に据える理由/センバツ2021

 

「大会中なので、特に何もない」


東海大相模・門馬功(3年)は準々決勝(対福岡大大濠)で甲子園初アーチとなる2ラン。一塁ベンチでは、父である門馬敬治監督とグータッチした


 10年ぶり3度目の頂点まで、あと2勝だ。

 東海大相模は3月31日の準決勝で、天理(奈良)と対戦する。

 準々決勝では主将・遊撃手の大塚瑠晏(3年)が急性胃腸炎のため、ベンチに入らなかった。主将代行を務めた副主将・門馬功(3年)が2回に2ラン。打線のけん引役となり、リーダー不在の中で存在感を発揮し、チームも8対0で3年ぶりの4強進出を決めている。

 なお、大塚は休養日となった30日の練習に参加しなかった。東海大相模・門馬敬治監督によれば病院での治療、経過観察を経て、準決勝のベンチ入り、試合出場については、今後の状況を慎重に見極めていくという。

 さて、今年3月の対外試合解禁以降から一番・左翼を務める門馬は、門馬監督の次男だ。前日の本塁打では、生還してきた息子をグータッチで迎えている。マスク越しではあったが、指揮官の目はほほ笑んでいるように見えた。

 主将代行としての評価はこうだ。

「副主将でもありますので、そのままの形でやっていた。チーム全員がキャプテンという感じです。大塚がいないことも大きいですが、(彼に)変わるチーム力も必要です」

 報道陣から父としての評価を求められると「大会中ですので、特に何もありません。次の試合で結果を残すことが大事」と語った。

 一方で、門馬も4強進出について「父と来られたというよりは、チームとして勝てたので。まだ、自分たちの目標は、ここではない。明日の天理に向けてやっていきたい」と、私情を持ち込むことはなかった。

 長男・大さん(東海大4年・内野手・主将)は同校OBで、高校3年間で甲子園の土を踏むことができなかった。長女・花さんは女子マネジャーとして2019年夏の甲子園出場を陰から支えた。そして、次男に全国優勝のチャンスがめぐってきている。物心がついたころからタテジマのユニフォームが日常にあった。

攻撃だけでなく、守備も抜群


 昨年、新型コロナウイルスの感染拡大による活動休止期間中は父、兄と3人で汗を流すこともあった。門馬監督からの当時の直接指導が「プラスになった」と振り返る。

「打撃、守備、体の使い方、ボールのとらえ方……。全体練習はできませんでしたが、その期間で量も積めた。いまに生きている」

 昨夏の甲子園交流試合(対大阪桐蔭)では代打で出場も、遊ゴロに終わった。2年秋の新チームからレギュラーとなり、五番・一塁で打線の中核を担ってきた。ひと冬を越えて、トップバッターに定着。その意図を門馬監督はこう語る。

「強気にいけるところ。また、(昨秋は一番だった)大塚を二番にすることで攻撃の幅が広がる。勝負事において、目がギラギラしている。その部分を買いました」

 天理には193センチ右腕・達孝太(3年)がいる。対策について、門馬は語った。

「素晴らしい投手です。高めもありますが、低めを徹底して打っていくことを、チームとして意識してやりたい」

 門馬監督は「打てない、打てる、ではない。点を取るために最善を尽くしていきたい」と話した。大会期間中を通じて、これまでも再三、言い続けていることがある。

「打って、点を取るのが、一番、気分が良いですが、われわれは勝負をしている。勝つためには、打つだけでなく、守ることも評価していただけるのであれば、その部分では充実しているのではないか、と(3試合で1失点、1失策)。投打がかみ合ったゲームというのは、年間で何試合もありません。ゲームが終わって、1点でも多く取っていればいい」

 東海大相模のモットーは「アグレッシブ・ベースボール」。攻撃、守備でも受け身にならずに、攻め続ける。門馬は指揮官が選手に求めている「粘る。しがみつく」をチームの象徴として、甲子園で泥だらけになって動く。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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