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センバツ2021

決勝を前にチームを離れる東海大相模コーチが行った“最後の仕事”/センバツ2021

 

「こっそり、テレビを見ますかねえ……」


東海大相模は天理との準決勝を2対0で勝利し、10年ぶりの決勝進出を決めている


 3月31日。東海大相模の職員として最後の日を、三塁側アルプススタンドで迎えた。野球部コーチ、寮監として5年間、チームを支えた宮崎大将コーチである。

「このタイミングで離れるのは、名残惜しいです。でも、選手たちは、甲子園に連れてきてくれたので感謝しています」

 宮崎コーチは2010年夏の甲子園、背番号14でベンチ入り。興南(沖縄)との決勝では9回表二死から代打で登場も三振で、最後の打者となっている(1対13で準優勝)。

「準優勝は負けの代表。決勝へ進出したら、優勝しかありません。いまとなっては、良い経験をさせていただきました」

 卒業後は東海大準硬式でプレー。16年から母校・東海大相模で指導(社会科の非常勤講師)を続けてきた。4月1日からはアレセイア湘南(社会科の常勤講師)で勤務する。準々決勝(28日)の雨天中止がなければ本来、3月31日が決勝であったが……。宮崎コーチとしては複雑な心境も、選手にとっては絶好の「休養日」となったことを心から喜んだ。

 3月31日。東海大相模は天理との準決勝で勝利(2対0)し、10年ぶりの決勝進出を決めている。

「これで気持ちよく、帰ることができます」

 しかし、試合が終わっても、仕事はまだ残されていた。第2試合(明豊−中京大中京)を偵察。しっかり相手校を丸裸にした上で、収集したデータをチームへ共有。「最終の新幹線を予約してあるんです」。育ててもらった東海大相模のために、最後まで尽力した。

 新天地では野球部のコーチに就任する。

「相模の野球を見本にしていきたい。技術がある、なしに関わらず、日々の取り組みが大事。1日1日、成長する。それが、大きな力になるんです」

 4月1日は初出勤だ。決勝は12時30分試合開始である。「こっそり、テレビを見ますかねえ……」。宮崎コーチは冗談交じりに語り、笑顔で甲子園を後にした。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎
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