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センバツ2021

甲子園で驚異的な数字を並べた東海大相模の左腕・石田隼都が飛躍を遂げた3つの理由/センバツ2021

 

29回1/3を投げて無失点


東海大相模の左腕・石田隼都は今大会全5試合を投げ、29回1/3を無失点。45奪三振、2四死球という圧巻の数字で10年ぶり3度目のセンバツ優勝へ導いた


 驚異的な数字が並ぶ。

 東海大相模の183センチ左腕・石田隼斗(3年)が10年ぶり3度目のセンバツ優勝の原動力となった。

 1、2回戦はブルペン待機から救援すると、準々決勝と準決勝は完封。ベンチスタートとなった明豊(大分)との決勝は6回途中からリリーフし、相手に付け入るスキを与えなかった。チームは2対2の9回裏にサヨナラ勝ち(3対2)。石田は令和初王者の優勝投手となった。

 29回1/3を投げて無失点。また、45奪三振に2四球と抜群の制球力を見せた。

 なぜ、飛躍を遂げたのか。3つの理由がある。

 まずは精神面の充実だ。石田は誰にも負けない要素として「強気に攻める」と自己分析する。東海大相模・門馬敬治監督は「ハートの強さ」と明かした。さらに、こう付け加える。

「負けたくない。同じ思いをしたくない。今度はオレが!! という気持ちの強さです」

 昨秋の関東大会準々決勝(対東海大甲府)では1対0とリードした9回裏、一死からサヨナラ負け。冬場は26個目、27個目のアウトを取るための練習を積み重ねてきた。

 そこで、2つめが練習に対する創意工夫である。新型コロナウイルスを受けた緊急事態宣言中、全体練習は約2時間という制約があった。通常の半分以下。この練習量をカバーするために、ブルペンではより、集中力を高めた投球を実践。打者を立たせ、試合を想定して、課題であったインコース攻め、低めに集める変化球の精度を高めることができた。

 3つめは、大舞台にも動じない性格である。

 高校球児に対して「甲子園とは、どういう場所でしたか?」という、よく使われる質問がある。そこで、石田は「広い球場。普通の球場だと思います」とサラリと語った。特別な感情を一切、示さないのだ。

 チームの勝利だけに徹する姿勢。頼りになる存在である。東海大相模は主将・大塚瑠晏(3年)が急性胃腸炎のため、準々決勝から決勝までの3試合、ベンチから外れた。門馬監督はエース左腕を「大黒柱」に指名したが、石田の言動から、その理由もよく分かった。

 146キロ左腕。腕が長く、肩関節の柔軟性にも富んでおり、ボールの出どころが見づらい。しかも、ストレートとチェンジアップ、スライダーら変化球の腕の振りが変わらない。

 NPBの各球団スカウトも当然、ドラフト候補としてリストアップしており、今後の投球から目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=高原由佳
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