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「自分たちはここまで弱いとは……」都大会1回戦敗退の早実は夏へ向けて「ガラガラポンでいくしかない」

 

清宮が唯一の得点となる適時打


早実は国学院久我山との東京大会1回戦で敗退(1対4)。「四番・左翼」で出場した主将・清宮福太郎は3打数2安打1打点(1四球)の結果だった


 昨秋の東京大会8強の第4シード校・早実が今春の東京大会1回戦(対国学院久我山)で敗退(1対4)した。

 取材スペースに現れた主将・清宮福太郎(3年)は、現実を受け止められない様子だった。

 冒頭で「今日の試合を振り返っていただけますか」という質問に対して、こう答えた。

「衝撃的。自分たちはここまで弱いとは……」

 練習試合である程度の手応えを得ていた上で迎えた、この日の初戦だったという。しかし、オープン戦と公式戦では、勝手が違った。

「東京でどのくらいの位置にいるのか、練習試合では分かっていなかった。おごっていたのかな、と。ショックなのは自分たち。これが夏ではなかった。それが、一番の救いです」

 四番・清宮は第3打席で三塁強襲の安打をマークすると、8回裏には唯一の得点となる適時二塁打を右中間へ放っている。昨秋は一塁を守ったが、今春は本来の左翼手へ戻った。

 ネット裏で視察した日本ハム・坂本晃一スカウトは「力強さは相変わらず。バットを振る能力、体の強さは非凡なものがある。体が引き締まり、外野守備も動ける」と評価した。

 さて、敗因はどこにあったのか? 主将・清宮は手応え十分だったが、早実・和泉実監督は試合後に「もともと打てない。投手陣にも不安材料があった」と明かしている。

「昨秋からを通じ、ちびって野球をやっている選手がいる。精神的な成長を遂げていない」と、心の弱さを指摘。また「中心選手が機能してくれないといけない」と、一番・中堅の石郷岡大成(3年)、三番・遊撃の壽田悠毅(2年)の奮起を促した。主砲・清宮は当然のことながら、エース右腕・田和簾(3年)に対しても「踏ん張ってくれないことには、優勝なんて遠く見えない」と期待を込めている。

 全体のチーム編成については、白紙からの再出発。夏へ向けて、和泉監督は「ガラガラポンでいくしかない」と仕切り直しを誓った。

「(4月4日時点で)1年生にどういうメンバーが入ってくるか分からないですが(入学式は6日)、総入れ替え(の可能性)もある。早く着手できるのは、夏に向けては良かったと考えるしかない。(1年生を含めて)チーム全体に、刺激を与えないといけない」

 2016年以来、早実はノーシードで、今夏の西東京大会を迎える。毎年、3年生を軸に、最後の夏へ向けて士気を上げてくる伝統校である。約3カ月後、どのような形でピークへ持ってくるのか、興味は尽きないところだ。

文=岡本朋祐 写真=佐藤明
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