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巨人・王貞治は言う。「一晩寝たらガラッと分からなくなるほど、バッティングは微妙でもろいもの」だと/週べ回顧1972年編

 

 3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

技術的に心掛けているのは「U字打法」


表紙は巨人長嶋茂雄


 今回は『1972年9月25日号』。定価は100円。

 巨人・王貞治が長いスランプになったのは前年1971年夏ごろからだった。
 同年8年続いた打率3割が途切れ、.276に終わった。
 本塁打王、打点王に輝くも30歳を越えたこともあり、年齢的限界、一本足打法はやめたほうがいい、などの声があった。
 この72年もなかなか状態が上がらなかったが、8月中旬以降、成績が急上昇。再び3割、40本の“ノルマ”に向け、走り出した。
 復調のきっかけの一つは寝坊だ。朝9時に起きていたのを11時にした。
「早く起きすぎるとろくなことがないんです。いろいろ雑用をやっちゃうし、考える時間というのが多すぎる。野球選手というのは、もっと自由奔放さがあったほうがいいと思うんです。理屈を考えだしたら、それはプレーヤーとして悲劇の始まりですね」

 技術的に心掛けているのは「U字打法」という。
「やってみた感じはバットを放り出す感じ、と言ったら分かりやすいかな。要するにバットがボールをインパクトしてから、もう一つボールを押し出す、それから回る」
 とのことだ。

 加えて強調したのは練習量。
「長い、苦しいスランプだったけど、結局、その壁を破るきっかけとなったのは練習量でした。
 僕が特訓をやったころ、世間では日本式の練習至上主義を笑い、休養が一番だと勧める声もあった。確かにそれは理想に違いないけど、現場で苦しんでいるものの気持ちを考えていない。
 スランプで落ち込んだ人間は弱いものですよ。なんとしても自分で納得いく結果を出すため、練習で何かつかもうとするしかない。僕はそれがよかったと思う。やれるだけやったことが僕には幸せだったと思う」
 さらに現時点でスランプに苦しむ、先輩・長嶋茂雄に対しはこう語る。
「一言でいえば、自信をなくしています。去年の僕もあんなふうに落ち込んだから、その気持ちがよく分かるんです。あれだけの人でもバッティングが分からなくなるときがあるんですよ。
 一晩寝たらガラッと分からなくなるほどバッティングは微妙でもろいものです。どんなに周りでガタガタ言ったって、結局、頼りになるのは自分だけです。ミスターもきっと自分で切り開いて、自分で解決してみせると思っているでしょう」
 少し先走るが、王はこの時期を境に円熟期に入っていく。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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