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週べ60周年記念

東映・大杉勝男と南海・野村克也の微妙なライバル関係/週べ回顧1972年編

 

 3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

混沌のホームラン競争


東映・大杉勝男


 今回は『1972年9月25日号』。定価は100円。

 5月31日、東映の大杉勝男がロッテ戦で19号、月間では15本塁打で巨人王貞治の70年6月の記録に並んだ。当時2位は張本勲(東映)で10本。大杉の3年連続本塁打は確実、さらに言えば、56本塁打の新記録も可能ではと言われた。
 しかし、そこから当たりが止まり、3カ月過ぎた8月31日時点で33本塁打だった。
 追い掛けたのが、老雄・野村克也(南海)だ。6月末に9本差、7月末に5本差とし、8月末についに並ぶ。ほかにもジョーンズ(南海)、張本が28本、長池徳二(阪急)が27本と続いていた。

 この中で長池は、8月に10本塁打での猛追。前半戦わずか13本で、大杉とは14本差があった。連載「記録の手帖」で千葉功氏は「もし、長池の追い込みが成功でもすれば、もうこれは大変」と書いていた。

 このとき野村は大杉について、
「あいつ、タイトルが欲しくないんかいな。どないしとんやろ、あいつは」
 と言っていた。
「大杉は日本の代表的なホームランバッターにならないかん男や。またそれだけの技量がある。それなのに、あいつのんびりし過ぎている。何をぼやぼやしとるんかいな。
 ワシがいまさら大杉に勝とうとか勝てるとかは考えてないんや。ワシがタイトルを獲るんじゃないかという声もあるだろうが、ワシの目から見れば大杉のもんや。このことは誰よりもワシが一番よく知っているんや」
 と話していた。

 パ全体を考え、自分ではなく、大杉、長池、あとは土井正博(近鉄)に頑張ってほしいとも言っていたが、大杉は真に受けていない。
「ずいぶん、いろいろなことを言われて参ったことがある。今年も加藤(加藤俊夫。東映捕手)が“打たれたら大杉さんに怒られます”と言っていたとノムさんが言っていたけど、加藤に聞いたら、そんなこと言ってないと。でも、そんなことで怒りませんよ。2年くらい前なら引っ掛かったかもしれないが、いまはもう引っ掛からないよ」
 と言い、追いつかれたことについては、
「これだけ待ってやっと追いついてきた。ノムさんも年を取ったものだ。早く4、5本リードしてくれないかな。そうしたらゴール前で一気にひっくり返してやるのに。もっと打つように言ってください」
 調子を取り戻しつつあったこともあり、大杉は、こんな冗談も口にした。
「投げキスであれだけファンがわいたんだから(ホームランを打った際のパフォーマンス)、今度はプロレスラーがつける覆面をかぶって、打席に立とうと思っている。世の中アイデア時代。子どもがたくさん見に来てくれるからいいんじゃないかな」
 千の顔を持つ男、ミルマスカラスの初来日は71年だった。

 では、またあした。

<次回に続く>

写真=BBM

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