週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

巨人はやはり原辰徳…セ・リーグ6球団 1980年代のNo.1最強四番は誰だ?

 

読売ジャイアンツ



 1974年の長嶋茂雄引退後、多くの試合で四番を打った王貞治も80年限りで引退した。その直後は中畑清がこの大役を担ったが、入団2年目の原辰徳が82年に初めて四番に座り(読売巨人軍第48代四番打者)、この年は33本塁打、92打点を稼ぐとともに、最多勝利打点のタイトルを獲得するなど大きく飛躍。翌83年には103打点で打点王と最多勝利打点を2年連続で獲得する活躍で優勝に貢献し、リーグMVPにも選ばれている。以降は27本塁打&81打点、34本塁打&94打点、36本塁打&80打点と四番の働き。ただし、86年はシーズン終盤に左手首の有鉤骨を骨折。以降も6年連続で20本塁打以上を放っているが、引退後、原は「事実上、バッター原辰徳は、この骨折のときに終わりました」と言うほどの影響を明かした。それでも引退まで四番として1066試合に出場、1099安打、255本塁打、729打点を挙げている。

阪神タイガース



 1985年、阪神唯一の日本一に貢献した四番打者・掛布雅之が80年代の最強四番であることは疑いの余地はない。1980年にケガなどもあり70試合の出場に終わった掛布は、四番として出場し続けることを自分に課し、81年から85年まで全試合出場を果たした。その間、2度の本塁打王(計3回で1回は1979年)、打点王(1982年)1回を獲得。小さい体から繰り出す本塁打でファンを魅了し、“ミスター・タイガース”と称され、球界を代表する左打者として活躍した。

中日ドラゴンズ



 打席数で言えば3人に絞られる。谷沢健一、大島康徳、そして落合博満だ。谷沢と大島は三番や五番も務めたが、落合はほとんど固定。それを考えれば落合になるのだが、ロッテから移籍してきたのが87年。実働期間は3年と短いから、印象で言えば谷沢になるだろう。アキレス腱の痛みに苦しみながら復活し、80年には2度目となる首位打者のタイトルを獲得。82年には四番に座って8年ぶりのリーグ優勝に貢献した。チームメートだった宇野勝氏は「谷沢さんの打撃は天才的。さすが四番だと思った」と振り返っている。この宇野、そして助っ人のケン・モッカゲーリー・レーシッチも四番に座ったことはあるが、やはり80年代の中日最強四番を選ぶなら谷沢ではないか。

横浜大洋ホエールズ


大洋・ポンセ


 80年代の大洋は高木嘉一田代富雄レオン・リーらが四番に座ったが、実績や注目度を踏まえれば、86年から90年まで在籍したカルロス・ポンセが「最強」の名にふさわしいだろう。2年目の87年に打点王、88年には打点王、本塁打王の2冠。通算601安打、119本塁打、389打点、打率.296。当時流行したゲームソフト『スーパーマリオ』にそっくりのヒゲが子どもたちに人気で、親しみやすい応援歌は、今もファンの間で口ずさまれている。現在はアメリカ・フロリダ州を拠点に野球の技術指導に携わり、昨年は台湾のCPBLで打撃コーチを務めた。将来の夢は「日本のプロ野球で監督として指揮すること」と語る。

広島東洋カープ



 1980年代にリーグ優勝3回、日本一2回と黄金時代を築いた広島では、86年の引退まで四番としてチームをけん引した山本浩二がもちろん80年代最強の四番だ。80年代は、80、81、83年と3度の本塁打王、80年、81年と2度の打点王。チームが日本一となった80年にはMVPを獲得している。「ミスター赤ヘル」の名で呼ばれ、84年のオフには、プロ野球史上最高額の8500万円で契約を更改、カープのみならず、この当時の「プロ野球界の顔」となった。86年の日本シリーズを花道に引退。87年以降は、山本浩の法大の後輩に当たる小早川毅彦が四番の座を受け継いだが、完全定着はできず。90年代に入ると、江藤智の登場までは四番は流動的となった。

ヤクルトスワローズ


ヤクルト・ホーナー


 たった1年だけだが、インパクトなら1987年のボブ・ホーナーがNo.1だろう。前年までブレーブスで四番を打ち、メジャー通算215本塁打を誇った男は、まだ29歳と、脂の乗り切ったバリバリのメジャー・リーガー。来日したての5月5日の阪神戦(神宮)で、あいさつ代わりに初本塁打を放ち、翌日の同戦では3アーチ。1シーズン、93試合の出場で31本の本塁打を放ち、“ホーナー旋風”は神宮を満員にし、ヤクルト本社の株価すら上げたという。ただ、のちに主軸を打ち、ホーナーと三遊間を組んだ池山隆寛(現二軍監督)は、こう振り返っていた。「たしかにホーナーはすごかったけど、日本の野球をナメてしまっていたというか……。ちゃんと守備をしてくれないから、ショートのオレは大変だったんだよ」。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング