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中日、日本ハムはここまで1本…シーズン本塁打のワーストは何本? 過去10年の平均最下位はどこ?

 

中日は今季、開幕戦でビシエドが2ランを放ったが……


 3月26日に開幕した2021年シーズン。現在(4月10日終了時点)で14試合を消化したが(ヤクルト、中日、西武日本ハムは13試合)、中日と日本ハムはチーム本塁打がともに1本と苦しんでいる。12球団ブービーのDeNAオリックスでさえ8本を記録しているので、ここまで本塁打1本というのはかなり深刻だ。このままではチーム本塁打の最低記録を更新する可能性もあるが、これまでの「歴代最低本数」は何本なのだろうか?

過去最低はわずか27本


 試合数が少なかった1リーグ時代は、本塁打が極端に出にくかったシーズンも多い。例えば、1944年に優勝した阪神は35試合でわずか1本しか本塁打が出なかった。これではあまり参考にならないため、今回は2リーグ制となり、試合数も多くなった1950年以降を対象に調べてみた。

 2リーグ制以降でチーム本塁打が最も少なかったのが1954年の近鉄。なんとチーム全体で27本しか本塁打が記録されていない。リーグ優勝した西鉄が134本を記録しているため、極端に本塁打が出にくいシーズンだったわけではない。にもかかわらず、近鉄はとにかく本塁打が出なかった。この年は青田昇(洋松)と中西太(西鉄)が本塁打王になっているが、その数はともに31本。近鉄全員の本塁打を足しても一人のバッターに及ばなかったのだ。

 1950年代の近鉄はとにかく貧打で、前年1953年は31本塁打、翌1955年は35本塁打と奮わず。1960年代になっても長距離砲不足は相変わらずだった。当時の近鉄打線は「ピストル打線」と呼ばれていた。これは「大きな一本は出ないものの、ヒットでつないで得点を奪う」というポジティブな意味がある一方で、「本塁打が出ない迫力不足の打線」という皮肉も込められていた。

2000年以降では46本がワースト


06年の楽天フェルナンデスがチーム全体の約4割の28本塁打をマーク


 歴代ワーストは27本だが、現在のチーム体制となった2005年以降ではどうだろうか。まずは「統一球問題」で揺れた2011年以前、2005年から2010年までで見た場合は、2006年の楽天が記録した67本が最低本数だ。創設2年目を迎えた楽天だが、ホセ・フェルナンデス(28本)と山崎武司(19本)以外はまったく本塁打が打てず、この2人がいなければチーム本塁打はさらに深刻な数字になっていたはずだ。

 2011年に「統一球」、いわゆる「飛ばないボール」が導入されると本塁打が激減。2010年シーズンは1605本の本塁打が出ていたが、2011年は939本と本塁打の数が大きく減ってしまった。そのため、2011年はセ・リーグワーストが広島の52本、パ・リーグワーストがロッテの46本と目を疑う数字になっている。特にロッテの46本は2000年以降では最悪の数字だ。

 反発係数が高いボールに変更された2013年以降は、2015年に中日が記録した71本がワーストだ。中日は2013年以降、本塁打が少なくなっており、2014年、2015年、2016年、2019年、2020年と5度リーグワーストを記録。パ・リーグではロッテが2013年以降では4度リーグワーストを記録しているが、ここ2シーズンは日本ハムが連続ワーストと不調だ。この流れは今シーズンも変わらず。中日は3月26日に1本が出た以降は停滞しており、日本ハムに至っては開幕10戦目でようやく今季チーム1号と出遅れてしまっている。

過去10年の平均本数は中日が最下位


 過去10年のチーム本塁打数を基に年間の平均本数を調べたところ、次のような順位になった。

1位 ソフトバンク:平均131本
2位 巨人:平均130本
3位 西武:平均128.6本
4位 DeNA:平均126.2本
5位 広島:平均122.6本
6位 ヤクルト:平均117.9本
7位 日本ハム:平均105.7本
8位 楽天:平均98.6本
9位 オリックス:平均95.7本
10位 阪神:平均88.4本
11位 ロッテ:平均88.3本
12位 中日:平均87.8本

 トップはソフトバンクで平均131本。一方、最下位は中日で平均87.8本とトップと50本近い差がある。まだ序盤ではあるものの、実際に今シーズンもソフトバンクは13本と12球団4位タイ。中日は1本で日本ハムと並んで最下位と、本塁打が出るチーム、出にくいチームの傾向は変わっていないようだ。

 とはいえ、本拠地とするナゴヤドームは、フェンスの高さなどが要因で本塁打が出にくいとされているため、このマイナス要素を考えると健闘しているといえる。ここ2シーズンリーグワーストの日本ハムも同様で、本拠地の札幌ドームは球界屈指の「本塁打が出にくい球場」。こうした「ホームの特性」も相まって、この2チームは「本塁打に苦しんでいる」のだ。昨シーズン、1本差で最多本塁打を逃した日本ハム・中田翔は、フェンス直撃の打球が何度もあり、仮に札幌ドームでなかったら、念願のホームランキングになっていたかもしれない。

 昨シーズン以上に本塁打が出ずに苦しんでいる中日と日本ハム。順位もそれぞれ5位、6位と序盤ではあるがBクラスに沈んでおり、重苦しいムードを一転させるためにも一発がほしいところ。果たして今後盛り返すことができるのか注目したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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