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今年のスローガンは「県内無敗」。劇的な変化を遂げている横浜高にある3つの約束事

 

攻守にわたりスピーディー


横浜高は春季県大会初戦(4月11日、2回戦、対瀬谷西高)で5回コールド勝利(10対0)。就任2年目の村田浩明監督は、県王者奪還へ力を注ぐ


「成長」に近道はない。目の前の一つひとつの課題を克服し、夏の頂点に狙いを定める。

 春3度、夏2度の甲子園優勝を誇る名門・横浜高は就任2年目の村田浩明監督の下で、劇的な変化を遂げているのが、見て分かる。

 瀬谷西高との春季神奈川県大会2回戦(4月11日)を5回コールド(10対0)で初戦突破を果たした。1時間19分。試合時間だけではなく、攻守にわたり、スピーディーな展開が目についた。

 今春のセンバツ甲子園では神奈川県内で「永遠のライバル」と言われる東海大相模高が10年ぶり3度目の優勝。横浜高は昨秋の県大会準決勝で屈辱の7回コールド敗退(1対9)。当然、意識するチームであり、倒さないといけない強敵だ。しかし、村田監督は相手を見る前に、自分たちの足下を見つめている。

 部員たちに求めている約束事が、3つある。

・泥臭く
・キビキビと
・元気良く

 村田監督は2013年から県立校の白山高を部員4人から徹底的に鍛え上げ、18年夏の北神奈川大会で8強進出。以降、神奈川における「公立の雄」としての地位を築いた。何を植え付けたかと言えば、上記の3つである。母校監督に就任した昨年4月、この基本が欠落していたという。高校生として最も大切な「全力疾走」をもう一度、口酸っぱく指導した。

 試合における「全力疾走」は、守りではカバーリング、打席では仮にフライであっても、一塁まで駆け抜ける。全員が当たり前のことを、当たり前にやる。村田監督が「人生の師」という渡辺元智元監督から高校時代に教わったことを、現役部員にも浸透させている。

打倒・東海大相模高へ


 横浜高には、全国からグレーのユニフォームにあこがれた中学生が入学してくる。潜在的な高い能力に加えて、チームとしての徹底力が身につけば「負けない野球」が実践できる。

「誰でもできることをやる。そこが崩れると、チームとしての弱点が生まれてしまう。チームカラーを一変させようと取り組んできました。横浜高校の野球を確立させたい」

 2021年のスローガンは「県内無敗」。村田監督は生徒と真正面から向き合い、県王者奪還へ、一歩ずつ進んでいる。東海大相模は昨夏の独自大会を含め、19年春から昨秋まで5季連続優勝。横浜高と東海大相模高は両校とも順当に勝ち上がれば、決勝(5月4日、横浜スタジアム)で顔を合わせる。横浜高は挑戦権を得るまで、スキのない戦いを続ける。

文=岡本朋祐 写真=椛本結城
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